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STEMを競う国際大会で日本チームがルーキー賞を総ナメ

「もう、やるっきゃない」世界を相手に戦ったロボコン女子高生のドタンバ力

迫る応募締め切り

4カ月間、ともかく参加者とメンター募集、企業への協賛の呼びかけなど、徐々に増えてきたメンバーとともにメールを出しまくる日々が続いた。世界大会までには計500社以上に出したという。少しでも反応のあったメンター候補や企業には飛んで行って説明し、協力をお願いした。

まず、メンターとして千葉のCoderDojo*が最初に名乗りを上げてくれた。続いて千葉工業大学未来ロボット技術研究センター(fuRo)が協力してくれることになった。特に富山健先生はメンターとして学生とともに指導してくれただけでなく、研究室や工作機械なども貸してくれた。企業協賛は簡単にはいかない。CSR活動に熱心な企業、女性支援をアピールしている企業などにしぼり、メールを出した。反応してくれた企業は少なかったが、めげずに出し続けた。たまに返信があると断りのメールでもうれしかった。

資金集めにはクラウドファンディングも使った。9月初めから10月末の2カ月間でなんとか約45万円を調達できた。応募締め切りまで時間のない中、残りは企業協賛で賄った。ほんの数社だったが、協賛してくれる会社が見つかったのだ。

必要最低限の人とお金の問題をクリアして11月の支払期限にギリギリで間に合った。

荻田さんは語る。「支払期限がせまり、去年の秋は毎日ドキドキでした」。 荻田さんは語る。「支払期限がせまり、去年の秋は毎日ドキドキでした」。

ロボット組み立てに奔走する日々

明けて2018年1月。分厚い英語での説明書とともにキットが送られてきた。地域大会の会場となるハワイへ完成したロボットを送り出すまで約2カ月、そして製作期間は大会側の規定により約6週間しかない中、設計/製作の担当者を中心にロボット作りの日々が続く。制御系の担当者はひたすら操作のためのプログラムを書く。

資金集めも継続している。メンバーがハワイへ行くための渡航費用も工面しなければならないからだ。もちろん昼間は学業がある。放課後や休日が勝負。平日は終電で帰宅する日も珍しくない。もちろんメンターの協力も仰ぐ。

ここまで情熱を持って活動してこれた源泉は何だろう。中嶋さんに聞いた。

「最初は『楽しいからやりたい』だけでしたが、多くの人を巻き込むにつれ、『もう、やるっきゃない』との気持ちになりました。目の前のことに追われるだけの日々でしたが、それが良かったのかもしれません。かえってあれこれ心配している暇はなかったので。特にキットが届いてからシッピングまではそうでしたね」

追い込まれたことが、土壇場での力につながったようだ。こうして3月頭にはロボットの発送をすませ、追加でロボットの部品等に費やしたお金も工面できた。いよいよハワイ大会である。

SAKURA Tempestaのロボット「さくらちゃん(6909)」。 SAKURA Tempestaのロボット「さくらちゃん(6909)」。
ロボットのエレベータ部分。アルミフレーム製のリフトが伸びていく構造。 ロボットのエレベータ部分。アルミフレーム製のリフトが伸びていく構造。

*CoderDojo(コーダ道場):アイルランドで2011年に始まった、子ども達がプログラミングについて学ぶための非営利のコミュニティ活動。2018年現在、100カ国に1900もの「道場」コミュニティが存在し、日本にも150以上の道場がある。

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