STEMを競う国際大会で日本チームがルーキー賞を総ナメ
「もう、やるっきゃない」世界を相手に戦ったロボコン女子高生のドタンバ力
多くの人に助けられて
デトロイトでの本大会は4月25~28日。ロボットはハワイから直接デトロイトへ運ばれた。会場で梱包を解くと思った以上に損傷が激しい。日本からの工具などの航空機への持ち込みには制限があり、修理には持ち込むことのできた簡単な工具しか使えなかった。
練習試合も前日の夜しかできず調整の時間も満足に取れないまま、ほぼぶっつけ本番で競技開始。初めは順調だったが、4試合目に伸ばしたエレベータがとれてしまい、元に戻らなくなるアクシデントが起きた。ドライバーは必死の操作で戻そうとするが思うにまかせず、時間だけがむなしく過ぎる。
「アーム部にあるパーツの一部が折れたようでした。原因は不明でしたが、ともかくパーツはなんとかしなければならない。allianceとは別に、大会中に仲が良くなったチームが3Dプリンターを持ち込んでいたので、それを借りることができました。各チームはライバルではありますが、良きパートナーでもあります。どのチームも工具や機械の貸し借りなど協力的でした」
そう語る荻田さん。
2日間の大会が終わり、「Rookie Inspiration Award」を獲得。ハワイでの地域大会を含め、初参加チームにしか与えられないルーキー賞3つを全て獲得できた。
「メンバーだけでなく、メンターさん、協賛企業の方々、クラウドファンディングで資金を出してくれた多くの皆さんのご支援のおかげです。また実力以上のものが発揮でき、運も良かったのだと思います。もちろん次回(2019 FRC)も参加の予定で、挑戦は始まっています。FRCはSTEMの面白さを世の中に伝えるアウトリーチ活動への貢献もポイントとして評価します。私たちも協賛企業の方々と協力してさまざまなイベントに参加していく予定です」
今後について、そう中嶋さんは語る。
「今、日本からFRCの大会参加は私たちを含め2チームしかありませんが、チーム数を増やし、アジアからの参加チームも含め日本で地域大会ができたら良いと思っています」
荻田さんもこう語ってくれた。
高校3年生の中嶋さんと荻田さんは来年卒業となる。受験の関係もあり、今シーズンのように関わることはできないが、できる範囲内でチームに協力し、さらに高校卒業後はメンターとして貢献することはできる。彼女と仲間たちの夢はまだまだ続いていくようだ。彼らの活動を通して日本のSTEMも盛り上がっていくことだろう。ぜひ応援したいところだ。