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STEMを競う国際大会で日本チームがルーキー賞を総ナメ

「もう、やるっきゃない」世界を相手に戦ったロボコン女子高生のドタンバ力

複雑な競技ルール

2018年FRCのテーマは「POWER UP」だった。基本の競技は、ロボットを作り、これに一辺が30cmの黄色い立方体「キューブ」を運ばせ、規定時間の中でポイントを競う。

1つの試合は6チームが参加し、3チームずつ赤と青の2つのalliance(アライアンス。「同盟」の意)に分かれて競う。それぞれのallianceは戦略を練り、3台のロボットを駆使する。競技場では敵味方計6台のロボットが縦横無尽に行き交う。ポイントはallianceに与えられ、allianceを組んだチームのポイントとなる。allianceは試合のたびに変わる。

ポイントの獲得方法は複雑だが、主には3つある。一つは、背の高いてんびんか背の低いシーソーの端にキューブを置いて、自分たちのalliance側に傾けること。傾いている間の時間がポイントとなる。二つ目はキューブを搬出口から出すこと。競技場外で待ち構えるチームメンバーの手で所定の位置に積み上げると、ポイントがダブルになるといったスキルが使える。最後は、climb(クライム)と呼ばれる、ロボット自身を床から持ち上げる動作だ。SAKURA Tempestaの場合はロボットのエレベータ(上下に伸び縮みするリフト)を伸ばし、てんびんに引っ掛けることでロボットが床から離れ、climbが可能となる。

予選の獲得ポイントを基に、ベスト8のチームがその大会の決勝のためにそれぞれベスト8に残らなかったチームから新たに2チームを選び、新しい8つのallianceを結成する。決勝ではトーナメント形式で最終的な勝者である1allianceが決まり、その大会の勝者となる。またその他にも、アウトリーチ活動(STEMの楽しさを一般に伝えるイベント活動への参加など)が主に評価されるFIRSTの中で最も権威のあるChairman’s Awardや、ピット内の安全管理を評価するSafety Awardなど、試合結果以外の活動や振る舞いを評価する賞も用意されている。

1試合の競技時間はわずか2分30秒。最初の15秒は自律制御。その後は競技場外にいる操縦者「ドライバー」が操作する。最後の30秒は、可能ならclimbに挑戦できる。ロボットの出来、ドライバーの腕、3チームの共同戦略など、多様な要素が競技に含まれている。

競技の概要を説明した公式動画。
ロボットがキューブをてんびんに載せているところ。 ロボットがキューブをてんびんに載せているところ。
ロボットが搬出口からキューブを出す。メンバーがキューブを所定の位置に置くとスキルが使える。 ロボットが搬出口からキューブを出す。メンバーがキューブを所定の位置に置くとスキルが使える。
climbしているSAKURA Tempestaのロボット。 climbしているSAKURA Tempestaのロボット。

2つの新人賞を受賞

2018年3月21~25日に開かれたハワイ大会。梱包を解き、すぐにプログラムを含めた最終調整。調整しながら何度か行った練習試合でドライバーが操縦の勘を取り戻す。

alliance分けは当日発表される。発表後はすぐにallianceチームのメンバーが集まり作戦会議。もちろんやりとりはすべて英語だ。試合ごとにallianceは変わるので、試合と試合の間1時間程度で会議を終えねばならない。

「しゃべれないからといって黙っていては会議に参加できません。下手でもなんでもともかく言葉にして自分たちの戦略を伝える。英会話力というより身振り手振りを含めたコミュニケーション能力が問われる、と痛感しましたね」

と中嶋さん。

ハワイでは1日半で予選13試合をこなした。チームのロボット「さくらちゃん(6909)」は快調だった。次々とポイントを奪取する。特にclimbが絶好調でポイントも大きく、勝つことができた。予選がすべて終わってから異臭に気がついた。モーターコントローラーの接続部分が焼けていたのだ。競技中にひどく焼け、炎が出ていたら大変なアクシデントだった。運も味方した。気がつけば9位で予選通過。決勝に進んだものの、結果は10位で地域大会を終えた。それでも初参加チームの中での成績などが評価され、「Rookie All Star Award」「Highest Rookie Seed Award」という2つの賞を獲得できた。

こうして思ってもみなかった世界大会出場権を獲得。アメリカはデトロイトで行われる本大会に向かって新たな一歩が始まった。

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