あッ 3Dプリンター屋の人だッ!!
「CAD鉄」で、世界中の鉄道マニアの居場所を作りたい
——3Dプリンター屋ではどのような活動をしているのでしょうか?
斉藤「自分の得意分野である123D Designの勉強会を任されて、初回はiPhoneのモックアップを作りました。大学ではずっと1人で作っていたので、ここでまた人とコミュニケーションしながら模型作りができたのは楽しかったですね」
中村(3Dプリンター屋店長)「ここはみんなが主人公になれる場所だと思うんです。たとえば3Dプリンタについて聞きたい人がお店に来たら、斉藤くんは自分が作ったものを見せて『これ作ったんだぜ』と自慢できるじゃないですか。かつ、ここは鉄道研究部と違って鉄道が趣味じゃない人も来るので、枠を超えて今まで出会えなかった人と出会える場所にもなっています」
斉藤「ここに来て1番変わったことは、『鉄道模型を作るのがゴールじゃない』と思うようになったことです。それまでは3Dプリンタを使って鉄道模型を作ることを目指していたんですが、使い方次第でもっと面白いものができることに気が付きました。たとえばスケールの大きい鉄道を作って置物にしたり、電車とUSBを組み合わせたり。鉄道に興味がない人とも関わることで、鉄道マニア以外の視点でものづくりができるようになったのはここのおかげです」
——その3Dプリンター屋を拠点に斉藤さんが立ち上げた鉄道マニアのためのコミュニティ「CAD鉄の集い」は、どんなコミュニティなのでしょうか? 活動を始めようと思ったきっかけは?
斉藤「ここでやった123D Designの勉強会が楽しかったので、次は鉄道模型をCADデータで作る勉強会をやりたいと思ったのがきっかけです。鉄道マニアにも『撮り鉄』や『乗り鉄』といったいろんなジャンルがあるなかで、毛利さん(3Dプリンター屋運営者)がそれを『CAD鉄』と命名してくれました。でもただ作るだけでは面白くないと思って、勉強会というよりも、鉄道マニアが集まって趣味を共有できるような“集い”にしたかった。自分が大学生のときに欲しかった居場所を今、自分で作っているというイメージです。
『CAD鉄の集い』で大切にしている考えは、フリーとシェア。だから僕は、勉強会などのイベントはすべて無料でやりますし、参加してくれた人にも『できたものはどんどんシェアしてください』という話をしています。3Dプリンター屋で鉄道模型を楽しんで、それを世界に発信するコミュニティ。それが『CAD鉄の集い』なんです。
『すべての鉄道ファンに、3DCADスキルを』という目標を掲げて活動をしていますが、自分が昔そうだったように、鉄道模型を作りたいけど作る場所がない、作り方がわからないという人がCADを使って鉄道模型を作れるようになったら、どんな面白いことが起きるんだろうと思っています。CAD鉄の知識やノウハウをオープンにシェアして、作れる人を増やす。この活動を拡げていくことで、自分よりもっとすごい人が出てくるだろうし、もっと面白いものができるだろうと思っています」
——Maker Faire Tokyo 2014(以下、MFT)にも出展したんですよね。(123D Designを出している)オートデスクのブースに自分の作品が並ぶのはどんな感じでしたか?(※編集部注 オートデスクのブース内に設けられた3Dプリンター屋の展示エリアに展示)
斉藤「光栄ですよね。まさか出せるなんて思ってもいませんでした。今まで鉄道関連のイベントにしか行ったことが無かったんですけど、MFTは全然違いましたね。一番驚いたのは展示物をお客さんが触るんですよね。普通の鉄道のイベントだと模型を触ったらすごく怒られるんですけど、MFTでは模型を触りながら『こうやって作ったんだ』とか『ここをこうしたら、もっときれいに出力できるよ』とアドバイスをもらったり、隠れ鉄道マニアだった人が来てくれたりして嬉しかったですね。鉄道イベントじゃなくて、こういうイベントに出したほうが面白いなと思いました」