あッ 3Dプリンター屋の人だッ!!
3Dプリント素人の私が、「テトラガール」になるまで
東京は中野にあるサブカルのメッカ、「中野ブロードウェイ」の一角にある「あッ 3Dプリンター屋だッ!! 東京メイカー×ストーンスープ×ミライス」(以下、3Dプリンター屋)。学生や主婦、外国人観光客まで、さまざまな人が訪れるカオスなスポットだ。人々は、何を求めてこのお店に集うのだろう。連載第3回目にお話を聞いたのは、インターン生の富永柚香さん。1年前にはソフトウェアのインストール方法も分からなかった機械音痴の彼女が、3Dプリンター屋を訪れ、消波ブロック(テトラポッド)型のアクセサリークリエイター「テトラガール」になるまでを聞いた。(聞き手:越智岳人 構成:宮本裕人)
——消波ブロックを中心に海に関するものを使ってアクセサリーを作っている富永さんですが、そもそもなせ“海”に興味を持ったのでしょうか?
富永「高校生のときに水族館に連れて行ってもらったのがきっかけです。魚やペンギンを見るのにはまってしまって。それに加え3.11が起きてから『津波の被害をおさえるための建築』に興味を持ち、大学では海洋建築を学んでいます。大学に入ってから、もともとの趣味でもあった海について、より学んだり関わったりすることが増えましたね」
——3Dプリンター屋を最初に訪れた経緯を教えてください。
富永「本当に偶然なんですけど、2014年の春に、中野が通学路なのでブロードウェイをぶらぶらしていたんですね。地下のアイスクリーム屋さんでアイスを食べているとき、隣にある3Dプリンター屋を見つけて。『なんだ、このお店は!?』と衝撃を受けて立ち寄ったのがきっかけです。
手芸や工作など何かを作るのはもともと好きだったので、そこで『3Dプリンターって面白いな』と思うようになりました。その日は子どもの頃に好きだった『忍ペンまん丸』というキャラクターをモチーフにしたオリジナルのiPhoneケースを作って、後日再びお店を訪れたときに、店長の中村さんにインターンに誘われました」
中村「富永さんはそのときに3Dのスキルを持っていたわけではありませんでしたが、とにかく素直な子だったのでインターンをやってみないかと声をかけてみました。インターンを始めるときにスキルがなくても、問題ないんです」
富永「3Dどころかパソコンや機械全般が苦手だったんです。はじめは3Dデータ作成ソフトの『Autodesk 123D Design』のインストールの仕方がわからなかったくらいで……(笑) お店の講習会に参加して、他のインターン生に教わりながら少しずつ操作を覚えることができました」