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あッ 3Dプリンター屋の人だッ!!

年齢も職業もバラバラだからこそ、学校にはない学びがある

東京は中野にあるサブカルの新しいメッカ「中野ブロードウェイ」の一角にある「あッ 3Dプリンター屋だッ!! 東京メイカー × ストーンスープ×ミライス」(以下、3Dプリンター屋)。パーソナル3Dプリンタが所狭しと並ぶ店内に買い物帰りの主婦から外国人観光客まで、さまざまな人がやってくる今最もカオスなスポットだ。
この3Dプリンター屋に集う人たちがどのように3Dプリンタを活用しているのか、インタビュー形式での連載がスタート。第1回目はインターン生の渡邉仁史さん。慶應SFCというアカデミックな世界で3Dプリンタに触れてきた彼が言う「普通の人が作るものこそ面白い」とは?(聞き手:越智岳人 構成:宮本裕人)

——まず最初に、渡邉さんの3Dプリンタとの出会いを教えてください。

渡邉「SFC(慶應大学湘南藤沢キャンパス)で、田中浩也先生の研究室に入ったことがきっかけでものづくりの勉強を始めました。SFCに入ろうと思ったのは、高校生のときにSFCの試験に4コママンガがあるのを見つけたのがきっかけです。『こんなふざけた大学はきっと面白いことをしてるに違いない』と思って受験を決めました。

と言っても小さい頃から図工や絵を描くことは好きだったので、今思えば潜在的にものづくりは好きだったんだと思います。自分で作ることの1番いいことは、やっぱり自分の思い通りにできること。既製品よりも、自分で作ったほうが満足するものができると思います」 

渡邉さんが考案した「書き取り練習用鉛筆」。Twitterで公開して話題になった作品で、3Dプリンター屋に置いたところ1000円で売れた。 渡邉さんが考案した「書き取り練習用鉛筆」。Twitterで公開して話題になった作品で、3Dプリンター屋に置いたところ1000円で売れた。

——どのような経緯で3Dプリンター屋でのインターンを始めたのでしょうか?

渡邉「(科学技術振興機構の)COI(センター・オブ・イノベーション)というイノベーションを生み出すためのプログラムで、慶應大学も参加するシンポジウムがありました。そこで明治大学の展示の中に3Dプリンター屋の展示があって、中村さんに会ったのがきっかけですね。

3Dプリンター屋のことはその前から知っていたんですけど、実際に行ったことはなくて「せっかくお店の人に会えたから一度行ってみよう」と思って行ったら、その場で中村さんに「じゃあインターン生ね」と言われたんです。その場でfacebookのグループにも入れられ、いつの間にかインターンになっていました(笑)」 

3Dプリンター屋を運営するTOKYO MAKERの中村さん(右)と毛利さん(左) 3Dプリンター屋を運営するTOKYO MAKERの中村さん(右)と毛利さん(左)

中村「優秀な人材はその場で採用と思って(笑)。インターン生は、若い人が3Dプリンタでどんなものを作るかを知りたいので来てもらっています。若い人の方がアンテナも感性も鋭いのでインターン生にやってもらいたいことは、 社会に出るとき/社会に向けて何かアピールできるようなことを発信して残してほしいということ。お店にある3Dプリンタや3Dスキャン機材は自由に使っていいので、何かものを作ってもいいしイベントをやってもいい。形は何でもいいので結果を残すというのがミッションです。それにはインターン生/社会人マスター達との連動が大切だと思います。初めは分からないことだらけだと思うけど、皆、3カ月ぐらいでもすごく成長しますよ」

——お店側から見て、渡邉さんはどんな人でしょうか?

毛利「“バイク屋の常連”のような人ですね。実はこの3Dプリンター屋のもともとのコンセプトは、バイク屋なんです。というのも僕が学生時代にバイクにはまっていて、いつも大学に行かないでバイク屋に行ってたんです。その場で仲間たちとしゃべったり、バイク雑誌を見たりするわけです。

で、そのときにお客さんが来ると、最初の接客は僕ら常連がするんです。バイク屋のおやじさんは修理なんかで忙しいし、流行に関しては僕らの方が知っている。そうやって僕らがお客さんと『このバイクがいいですよ』なんて話をして、お金の話になってくるとおやじさんを呼んでくる。そういうイメージでここもやりたいなと思っていて。中村くんがバイク屋のおやじだとすると、渡邉くんは常連なんですね」 

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