あッ 3Dプリンター屋の人だッ!!
ボディランゲージからファブランゲージへ! 中東でワークショップをやってみた
東京は中野にあるサブカルのメッカ、「中野ブロードウェイ」の一角にある「あッ 3Dプリンター屋だッ!! 東京メイカー×ストーンスープ×ミライス」(以下、3Dプリンター屋)。学生や主婦、外国人観光客まで、さまざまな人が訪れるカオスなスポットだ。今回は中東カタールのドーハの美術大学に出張して開催したワークショップの様子を、中東に渡った毛利さんと中村さん、日本からインターネットを介して参加した協同経営者の株式会社ストーンスープの竹下さんに伺った。(聞き手・構成:越智岳人、写真提供:東京メイカー)
きっかけはInstagram
——なぜドーハでワークショップを?
中村「ワークショップを企画したマリヤムはアメリカのバージニアコモンウェルス大カタール校の先生なんです。Instagramで彼女から『今度、日本に行くから3Dプリンター屋にも行きたい』という連絡があり、後日、マリアムのお父さんと一緒にお店を見に来られて、そこで仲良くなったんです。マリアムが帰国する前日の夜に最後に食事したときにTasmeem(タスミーン )という2年に1度のイベントが、来年の3月にあるから何か東京メイカーで企画して応募してよって話になって」
毛利「Tasmeemは、デザインやアートをテーマに世界中から色んなアーティストを招いてキーノートセッションや作品展示、ワークショップを5日間に渡ってやるイベントで、25組ほどのアーティストが参加していました。今年のテーマが日本語で言うところの『ヤバい』で、僕達は日本文化の衣食住をテーマにした3Dプリンティングのワークショップ企画書を書いて応募したら、受かっちゃったというのが大まかな経緯です」
——Tasmeemは大学のアート系イベントみたいな感じだったんでしょうか?
中村「まったく違います。学校の中がお祭りみたいな仕立てになっていて、オープニングイベントにヴァレンティノ(編集部注:イタリアのファッションブランド「VALENTINO」の創業者、ヴァレンティノ・ガラヴァーニ)が出てきたり、ランチはスポンサーであるカタール航空のファーストクラスの料理が振る舞われたり、ワークショップで参加している他のアーティストに、「DIESEL」(イタリアのファッションブランド)の広告をやってる人がいたり、全体のレベルがとても高くて驚きました。
毛利「マリヤムのお父さんもアーティストって聞いて、趣味で絵を描いてるおじさんかなと思っていたら、ドーハの一等地にマリヤムのお父さん専用の大きなギャラリーがあるし、よくよく話を聞いたら村上隆と一緒に作品を作ってたりするぐらい、著名なアーティストだったのです(笑)」
——そんな世界につながるってすごいですね。まさに「ヤバい!」ですね。
毛利「マリヤム自身もアーティストで、ドーハは交差点に信号が無く全部ロータリーになっているのですが、かつてその真ん中にあったモニュメントをAR(拡張現実)で再現するプロジェクトをやっていていました。イスラム社会ではテクノロジーが既存の文化を破壊するという見方もあって、新しいものに対して否定的な意見を持つ人もいるようなんですけど、美術大学だとそういう価値観を逆手にとるような感じで、新しいことをどんどん取り入れようとしている印象がありました」