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あッ 3Dプリンター屋の人だッ!!

「アイデアが形に!」3Dプリンティング初心者が感じた、プロトタイプ制作の快感

東京は中野にあるサブカルのメッカ、「中野ブロードウェイ」の一角にある「あッ 3Dプリンター屋だッ!! 東京メイカー×ストーンスープ×ミライス」(以下、3Dプリンター屋)。学生や主婦、外国人観光客まで、さまざまな人が訪れるカオスなスポットだ。今回は3Dプリンター屋が東京工業大学とコラボレーションし、社会人も交えた授業を行った様子を取材しました。
【インタビュー:越智岳人(fabcross編集部)、文・撮影 :平野太一】

2015年5月30日に、中野駅近くの中野区産業振興推進機構(ICTCO:イクトコ)において、東京工業大学の「チーム志向越境型アントレプレナー育成プログラム(CBECプログラム)」の授業「製品設計・開発」のチーム発表会が行われました。

チーム志向越境型アントレプレナー育成プログラムとは?

CBECプログラムとは、文部省が推進する「グローバルアントレプレナー育成促進事業 」の採択を受け、東京工業大学で行われている教育/実践プログラムです。所属の垣根を超えて協力関係を保ちながら、多様な価値観を許容し、新しい価値を生み出していく人材を育てることを目的にしています。「製品設計・開発」の授業では、4月から5月まで、土曜日4コマ×4回の集中講義を行いました 。

「この授業の目的は、製品のデザインと開発を経営戦略、組織マネジメントの視点から学ぶことと、実際にワークショップ形式でデザインの過程を体験することです。ワークショップのテーマは、『小さな形が世界を変える』。

4、5名ほどのグループ単位で、フィールドワークで写真を撮るなどして日常生活の中から世界を支えている「小さな形」を集めその価値を見いだす演習をしたり、自ら世界を変える「小さな形」を考案してスケッチや模型で表現し、3Dプリンター屋の協力の下、3Dモデルを作って3Dプリンターでプロトタイピングするなど実践しながら、発想をデザインとして実現させる過程を学びました」(今回の集中講義の講師を務める、東京工業大学大学院理工学研究科特任教授の竹田陽子さん) 

この集中講義の参加者は、東京工業大学の機械系・経営工学系の大学生、大学院生や、社会人などの約20人。その中から、東工大の三田裕介さんと河越奈沙さん、社会人の幸田敏宏さんと岩田裕平さん、毛利太希さんの5人に、成果発表直後の感想を伺いました。

普段関わらない人たちとアイデアを形にしていく体験は楽しい

IT企業に勤める岩田裕平さん(左)とシンクタンクに勤める幸田敏宏さん(右) IT企業に勤める岩田裕平さん(左)とシンクタンクに勤める幸田敏宏さん(右)

——4回と限られた時間の中でアイデアを形にすることは大変だったと思いますが、参加してみていかがでしたか?

毛利:自分が頭の中で描いていたものが目の前に現れるという体験に、非常にわくわくしました。3Dプリンティングで実際にプロトタイプを作ると、デザインや雰囲気はどうなのか触って試すことができるので、これまでとは違った経験ができました。

河越:私の場合、大変だったというよりも楽しかったという思いの方が強いです。先の見えないトンネルを延々と歩くのではなく、歩いた分だけ先に進んで出口が見えてくるようで単純に楽しかったです。普段関わりの少ない学部の人や社会人の考えを聞けたことで、視野が広がったように思います。

岩田:枠にとらわれずアイデアをひたすら膨らませる「発散」と、膨らませたアイデアをどうしたら具現化できるのかを考える「収束」を両立させることがとても難しかったです。実際に形にしてみることで大きさや安全性の面で実現が難しいことが分かったり、作ったことで初めて見えてくる課題もあったりと、大きな学びになりました。 

岩田さんとメーカーに勤める毛利太希(中央)さんのチームが考えたのは、立方体状になっている電源タップ「CUBE」。電源タップがからまってしまうこととタップ自体の長さを調節したいという課題を解決するアイデア。 岩田さんとメーカーに勤める毛利太希(中央)さんのチームが考えたのは、立方体状になっている電源タップ「CUBE」。電源タップがからまってしまうこととタップ自体の長さを調節したいという課題を解決するアイデア。

幸田:モデリングの授業から3Dプリンティングまで全て初体験だったのですが、アイデアが形になるという経験ができたことで、できることの幅が広がったようでうれしかったですね。

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