Dig up the underground「プロダクト一機一会」 by 松崎順一
異国文化をリアルタイムに堪能できたラジオTOSHIBA「RP-775/SOUND750GS」
先日知り合いの方から連絡を頂いた。その方の親戚がやっていた上井草の電気店が閉店するとのこと。
情報を聞きさっそく拝見させていただくことになった。電気店はいつもの蒐集場所と違って、ある意味僕にとって聖地的なところでもある。
まずお店のファサード、シャッターに描かれた家電をモチーフにしたペンキ絵。そして看板。僕の場合、前職が空間設計なので家電の前に店舗でやられてしまうのです。
そして今回は既に店内は空っぽで、運び出された商品が店舗脇で重なるように僕を待っていてくれた。
そんな中、今回新品箱入りで発掘したのが1970年代に発売された東芝製ラジオ、RP-775、通称SOUND750GS(サウンドナナハンGS)。何と言ってもそのネーミングが男心を強烈にくすぐる。
当時、バイクも若者に絶大な人気があり、漫画週刊誌でも「ナナハンライダー」と言う連載漫画もあったほどだ。排気量が750cc、つまりナナハンが男達の憧れだったのである。
だからサウンドナナハンと言うネーミングには誰もが心ときめいた。
このラジオが誕生したきっかけは70年代BCL(注)が流行し電気メーカーはこぞってBCL向けのラジオを発売した。
このサウンドナナハンもその中の1台だ。デザインはラジオというよりはレシーバー(無線受信機)に近く、デザイン面でも僕を魅了した。
ラジオの下部に貼ってあった、手で地球をつかむイメージのシールは色あせしているけど健在。
当時、ノイズの中から狙った放送をキャッチした感動が脳裏によみがえった。
そして店舗での発掘はまだ続くのである。
■(注)
BCL(BroadCasting Listening)。1970年代、海外放送(主に短波放送)を受信して放送局に受信報告書を送り、ベリカードという受信報告のお礼のカードを集める趣味が流行した。
TOSHIBA RP-775/SOUND750GS
発売時期:1974年(昭和49年)
1974年起きた主な出来事
- 五島勉「ノストラダムスの大予言」がベストセラーに
- 映画「ゴジラ対メカゴジラ」が上映
- フィリピンのルバング島から旧陸軍少尉が帰国