新しいものづくりがわかるメディア

RSS


Dig up the underground「プロダクト一機一会」 by 松崎順一

究極の「装飾の非在」を形にしたデスクトップパーソナルコンピュータ「Apple Power Mac G4 Cube」

それは12月のある日の夕方、日が暮れて間もないファクトリーでの作業中、一本の電話がかかってきた。「ご無沙汰してます!」と言われたけど相手の方が全く思い出せない。そしてしばらく話して、僕が主宰するデザインアンダーグランドが初めてショップを構えた12年前のお客さんだったのだ。

その時はラジカセから雑貨、玩具から大好きなアップルのコンピュータまで幅広いラインアップをそろえており、僕がMacを好きだったのを覚えていてくれたらしい。そんな訳でその方が使っていたMacを譲り受けることになった。それが今回紹介する「Power Mac G4 Cube」(以下Cube)だ。

このころのアップルはジョブスがCEOに復帰して新生アップルになったばかり。1998年に発売した「iMac」が従来のパソコンの常識を覆すスケルトン仕様の筐体と驚異のコストパフォーマンスで起死回生の大ヒットとなり、さらなるパーソナルコンピュータ進撃の弾として2000年に発表されたのがCubeだった。当時Cubeはさまざまな話題を呼んだが、その逸話は長くなるので今回はCubeに対する僕の思いとして少々語らせていただきたい。

実際、当時iMacの興奮も冷めない時期、初めて見た衝撃は今も忘れない。展示台に照明が仕込んであり、Cubeが空中に浮いているかのような演出で、スペックもすごいのだが今まで見たことのないプロダクトデザインに完全にやられてしまったのだ。

それはパーソナルコンピュータを超えたデスクオブジェとしてアートの領域に踏み込んだ瞬間に思えた。現在その証としてニューヨーク近代美術館(MoMA)にCubeを含む30数点のアップル製品がアートピースとして収蔵されている。それは常に革新的なアップル製品がパーソナルコンピュータという枠を超えて社会に文化的なインパクトを与えた結果で、コンピュータという物質が無くなる予兆を与えたのがCubeの役割だったと今思うのである。

Apple Power Mac G4 Cube

発売時期:2000年(平成12年)

2000年に起きた主な出来事

  • 2000年になるとコンピュータが誤作動する可能性があるとされた「2000年問題」。事前の対策もあり、実際には重大なトラブルは発生しなかった
  • 二千円札発行
  • 都営地下鉄大江戸線が全線開通

今人気の記事はこちら

  1. IKEAの青いバッグをリメイクしよう!
  2. XYZプリンティング、小型3Dプリンター「ダヴィンチmini w+」と3Dペン「ダヴィンチ 3DペンCool」を発売
  3. Raspberry Piで手軽にデジタルオーディオを——廉価版サウンドカード「DACBerry RDY」
  4. 3D CAD機能を強化——Shade3D、アセンブリ機能を搭載した「Shade3D ver.18」発売へ
  5. 3Dデータから簡単に立体表示——独自技術を使った立体ディスプレイ「VVD」
  6. 電池レスIoT機器にも表示部を実現——凸版印刷、環境発電で作動する電子ペーパーを開発
  7. 動きをデザインするとはなにか?——「Parametric Move 動きをうごかす展」(池ノ上)
  8. 3Dプリンター用フィラメントを湿気から守る——空気が抜ける密封型フィラメントコンテナ「Vacuum Sealed Filament Container」
  9. XYZプリンティング、産業用3Dプリンター6機種を発表——産業向け市場に本格参入へ
  10. バブル時代に誕生したエレクトリック遊具という名の家電製品 「SANYO STEREO CASSETTE PLAYER ROBO-01(おんがくたい)」

ニュース

編集部のおすすめ

連載・シリーズ

注目のキーワード

もっと見る