Dig up the underground「プロダクト一機一会」by 松崎順一
時代が生んだ重量級のポータブル情報端末機器 「TOSHIBAテレビ(ラジオカセット付) GT-4500」
1970年代、僕が中学生の頃、家の茶の間に家具調のテレビが鎮座していた。この頃テレビは一家に1台の時代。ビデオなども無い時代で、僕の知る限り人々はテレビ番組に合わせた生活を送っていた。帰宅組だった僕は、夕方4時に始まる三井奥さま劇場の水戸黄門(笑)を見るために学校から駆けつける毎日だった。そんなテレビ番組の束縛から解放される家電が、今回紹介するポータブルテレビなのだ。
当時の“ポータブル家電”はかなりの重量があり、巨大で、無理やり取っ手を付けてポータブル(可搬型にしたような製品)も多かったように思う。そして今回蒐集した東芝のポータブル家電、GT-4500も間違いなくその部類に入っていそうなサイズだ。
このGT-4500は一見ラジカセ? と思うのだがメーカーのくくりではテレビ製品になり、テレビにラジオとカセットがついた複合家電製品になるようだ。僕としてはどうでもよいことなのだが、当時は何がメインかで生産する事業部が違った。ラジカセではない証拠に、型番は東芝製ラジカセの「RT-S」ではなく「GT」である。そんな家電にまつわる逸話も僕にとっては家電を集める楽しみの一つなのだ。
当時のラテカセ(ラジオ+テレビ+カセットテープレコーダーの略)は最新の情報を、日本全国いつでもどこでも得ることができる最先端の情報端末ツールだった。そしてラテカセはラジカセに比べて貴重なテレビが付いている分、高価なこともあって購買層は学生よりもビジネスマンが多かったようだ。ただGT-4500のテレビはまだ白黒でカラーになるのは80年代を待たなければならなかった。しかしこの時代のテレビは所有しているだけで貴重な存在だったから、所有していた人は現代とは比べること優越感があったことは間違いなかったと思っている。
現在GT-4500は、テレビ放送の地デジ化によってテレピは使えないが、ラジオは逆にワイドバンド化により再び活躍できる状況になっているのが面白い。
TOSHIBAテレビ(ラジオカセット付) GT-4500
発売時期:1978年
1978年に起きた主な出来事
- 成田国際空港(当時は新東京国際空港)が開港
- サザンオールスターズのデビューシングル「勝手にシンドバッド」発売
- 「スター・ウォーズ」(新たなる希望)が日本で公開