Dig up the underground「プロダクト一機一会」by 松崎順一
音声合成機能プログラミングで未来を感じたパソコン 「NEC Personal Computer PC-6001mkII」
一年のうち、2月頃の蒐集はかなりきつい。それは蒐集場所のほとんどが屋外か、壁の薄い倉庫のような場所だからだ。
しかしこんな時期でも実にさまざまなものが毎日廃棄されている。会社や店舗からの廃棄物も良いのだが、僕が一番面白いと思うものは家庭から出たもので、廃棄されたものからその人間模様を想像していくのが蒐集家の醍醐味だ。特に自分が昔使っていた家電や憧れていたものが出てくるとテンションが上がってしまう。
先日も定点巡回している某所に立寄り、仕分けられているものをチェック。ちなみに定点巡回している所は僕の好みの物をあらかじめ仕分けしてもらっている。そして倉庫の中をチェックして発見したのが昔購入した事があるNECのパソコン、「PC-6001mkII」だった。
PC-6001mkIIは「PC-6001(愛称:パピコン)」の後継機種で初代と比べると今のPCに近いデザインになっている。当時の価格は8万4800円とエントリーモデルとしては高価だった。今回発掘したのはパソコン本体とデーターレコーダー(この頃はカセットテープが主な記録媒体だった)、そしてゲーム用のジョイスティックの3点。
実際PC-6001mkIIは、スペック(8ビットCPU/4MHz動作、RAM64Kバイト、テキスト表示40桁×20行)からゲーム等ホビーユースが主なPCだった。しかしそうは言っても当時は憧れの家電で、入手した時は一晩中付属のゲームに熱中し、飽きると市販のゲームプログラムの本を買って慣れない手つきでプログラムを打ち続けた記憶がある。そして完成したプログラムをカセットテープにダウンロードする時に失敗し、せっかく何時間もかけて打ったプログラムが消滅したりとドキドキハラハラのパソコンだった。
ちなみにPC-6001mkIIには音声合成機能、通称Talkコマンドがあってプログラムを組むとその通り喋ってくれた。今となってはそのたどたどしい喋りに未来を感じたのだ。
NEC Personal Computer PC-6001mkII
発売時期:1983年
1983年に起きた主な出来事
- 東北大学医学部、日本初の体外受精による着床成功を発表(試験管ベビー)
- 東京ディズニーランド開園
- 任天堂が「ファミリーコンピュータ(ファミコン)」発売