Dig up the underground「プロダクト一機一会」 by 松崎順一
70年代のスペースエイジな1人カラオケマシン 「NATIONAL 8TRACK PORTABLE PLAYER RQ-8」
先日、仕事とリサーチを兼ねて沖縄の那覇に行ってきた。実に数十年ぶりの沖縄だ。以前とすっかり変わってしまった場所と全く変わらない所があり、懐かしくもある新しい今の沖縄に触れてきた。今回の目的は沖縄の音を録ること。これは自分のライフワークで、日本各地で自分が感じるその土地らしい音を録音して、サウンドスケープとしてカセットテープで保存している。
僕は自然の音も良いけれど街の音が1番好きだ。狭い日本でも、文化の違いで話す言葉も違うし街が奏でる騒音も違うのだ。そんな生活感がある音に惹かれてしまう。ちなみに気温はまだ冬のため20度に届かず、若干肌寒い沖縄での集音と蒐集となった。
音はさておき家電の蒐集は沖縄では初めてだ。那覇市のメインストリート国際通りは、さすがにお土産屋さんだらけで面白くない。ただし、国際通りの真ん中にできたドン・キホーテはお土産のラインアップが凄くて正直びっくり。そのドンキ付近から昔の商店街が市場の方向に伸びている。市場は有名な牧志公設市場だ。その市場を抜けさらに歩くと急に庶民的な商店が多くなってくる。
そんな中に一軒の電器屋さんを発見。看板は新しいパナソニック看板だが、ガラス越しに店内を見るとかなりの年月時間が止まった感じがする。入ろうとしたが鍵が掛かっている。隣のお店に聞くと電気工事で外出が多いとのことでしかたなく出直すことに。そして滞在期間中4度目の訪問で店内に入ることができ、いろいろお話を伺い物色した中で店主から頂いたのが、1970年代ナショナルの8トラックポータブルプレーヤー「RQ-8」だ。
本体の色はキュートな赤でサイズは同じナショナルのBCLラジオ“吠えろクーガ”の大きさに近い。そして特徴的なのが上に突き出たレバー。これは持ち運ぶ時に把手として便利だが実は曲の頭出し用のレバーで、押すたびに一曲ジャンプする優れものだ。何曲目を聴いてるかは本体の中央に表示される。この機種を今風に表現すれば“どこでも1人カラオケマシン”と言えないかな。
NATIONAL 8TRACK PORTABLE PLAYER RQ-8
発売時期:1978年
1978年に起きた主な出来事
- 東京・池袋にアジアで最も高い(当時)超高層ビル「サンシャイン60」オープン
- 日本テレビ「24時間テレビ 『愛は地球を救う』」放送開始
- 青木功がゴルフトーナメント「世界マッチプレー選手権」で優勝(アジア出身選手として初)