Dig up the underground「プロダクト一機一会」 by 松崎順一
ウォークマンという冠を外したポータブルカセットプレーヤー 「SONY STEREO CASSETTE PLAYER DD-100 BOODO KHAN」
梅雨という、一年で最もいやな季節が今年も到来した。僕の蒐集作業はほぼ屋外が主になるので、汚れるのと濡れるのとで精神的に疲労する。しかしそんな梅雨時でも探せばいろいろな物が入手できるのである。
ある地域の家電倉庫を発掘して入手したのが、今回紹介するSONY DD-100だ。もちろん倉庫に長年眠っていたものだが、新品で俗に言うデッドストックになる。
そしてこのDD-100はウォークマンの歴史の中でもこの機種専用の本格的なヘッドホンが付属した希少種で、ネーミングも何故か「武道館」と、ウォークマンという冠をあえて外したメーカーの意気込み? を感じる製品なのである。
この時代、ポータブルカセットプレーヤーの音質は既に申し分ないくらい高音質で、もの足りないのは低音域、そこに登場したのが重低音を売りにした「武道館」だったのだ。
SONYではこの時、DD-100以外に重低音を体感できる簡易ボディソニックシステムも「武道館」と称してシリーズ製品化している。まさにオーディオ界が重低音ブームだったことで誕生した製品なのだ。
さて製品自体を見ると本体はWALKMAN-DDの改良タイプと思われる。ブラックボディは見るからに重低音のイメージを彷彿させるさすがのデザイン処理だ。本体には武道館のロゴも立体で表現している凝りようだ。
このDD-100はカセットウォークマンの歴史の通過点の製品というよりも、ある意味ウォークマンの形をしていながら別次元のポータブルカセットプレーヤーとして製作された、存在感のある製品だ。
今回倉庫からは、このDD-100を含めて数点のSONY製品を発掘した。次回もその中からユニークな製品を紹介したいと思っている。
SONY STEREO CASSETTE PLAYER DD-100 BOODO KHAN
発売時期:1986年(昭和61年)
1986年に起きた主な出来事
- スペースシャトル、チャレンジャー号爆発事故。
- メキシコでFIFAワールドカップ開催。アルゼンチン代表のディエゴ・マラドーナが「5人抜き」や「神の手」ゴールなどのエピソードを生む。
- エニックスがシリーズ第1作となるRPG「ドラゴンクエスト」を発売。