Dig up the underground「プロダクト一機一会」 by 松崎順一
80年代のソニーイズムを形にした極小ステレオラジカセ「SONY STEREO CASSETTE-CORDER WA-66」
本格的な梅雨の到来。家電にとってはこの湿気が大敵。保管の際に屋内ではなく屋外、特に物置などに置いておくと間違いなく湿気にやられてカビたり錆たりするので注意が必要なのである。
僕が保管するラジカセも、なるべく通気性の良い棚に置いて空気がよどまないようにしている。そんな梅雨時ならではの話題はさて置いて、前回に引き続き倉庫から発掘したSONY製品を紹介する。
その製品はコンパクトな筐体の中にメカがぎっしり詰まったSONYの1983年製のステレオラジカセ、「WA-66」である。真っ赤な筐体はまさに80年代を象徴している。
そしてウォークマンを一回り大きくしたサイズながら、スピーカーを備えたステレオラジカセなのだ。
僕が知る限り超コンパクトなステレオラジカセは、他のメーカーではパイオニアの「SK-Q10」があり、本体の幅は約26cm。ちなみにスピーカーの間隔は12.5cmと左右の音の分離は大丈夫なのかと心配する程のサイズだが、SONYのWA-66に至っては本体の幅約18cmとほぼ手のひらサイズ、そしてスピーカーの間隔はなんと6.5cmとSK-Q10の半分だ。
そのステレオ感は実際どうなのか? というよりもこのサイズでステレオラジカセを作った当時の設計チームの熱い想いが伝わってくる製品に思える。そしてそこにはSONYの常にイノベーションを起こすという使命感と、常に新しい物を求めたコンシューマーとの共存共栄が存在していたに違いない。
WA-66はSONYが輝いていた80年代という時代を映す価値観を持った製品と感じるのである。
SONY STEREO CASSETTE-CORDER WA-66
発売時期:1983年(昭和58年)
1983年に起きた主な出来事
- ゆでたまご作の漫画・テレビアニメ『キン肉マン』がヒットを受けて、キン肉マン消しゴムが発売開始
- アメリカ人初の女性宇宙飛行士を乗せたスペースシャトル「チャレンジャー」打ち上げ
- 大島渚監督「戦場のメリー・クリスマス」上映。デヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけしらが出演。