Dig up the underground「プロダクト一機一会」 by 松崎順一
音楽が離陸する、ミュージックヘリプレーヤー 「SONY COMPACT Hi Fi COMPORNENT SYSTEM Heli PLAYER PS-Q7」
デッドストックという言葉の響きは、蒐集家にとって一番惹かれるフレーズだ。
実は前回まで紹介してきたSONYの倉庫で、もう1点珍しい製品がデッドストックで発掘された。確認したところこれが本当に最後のストックらしい。
というわけで発掘されたデッドストック最後の製品「SONY PS-Q7」の紹介だ。
僕の中でこのPS-Q7は、1980年代にオーディオ売場で見たミニコンポの中で1番の異彩を放っていたのを覚えている。その異彩とはミニコンポの頂上に乗っていたPS-Q7からはみ出たLPレコードだった。コンポのサイズがおよそLPレコードの3分の2とLPよりも小さいためで、はみ出しながらLPが回転していたのだ。
そしてそのコンポのニックネームも「ヘリコンポ」と当時のSONYは弾けていた。実はPS-Q7のユニークさはそれだけではない。ヘッドホンアンプを内蔵しているのでコンポに接続せずとも単体で楽しめるのだ。
ポータブルプレーヤーではないから電池は入れられず、どこでもというわけにはいかないけれど、かなり自由な使い方ができるレコードプレーヤーだ。
そしてもう一つの隠し技が背面に付いたアンテナだ。えっ、なぜレコードプレーヤーにアンテナがと一瞬悩むが、それは単体で使用するとき、ヘッドホンではなくスピーカーで聴きたいシーンを想定してか、近くのラジオかラジカセにレコードの音をFM電波で飛ばすFMトランスミッターを内蔵しているためだ。そして電波を送信している間はON AIRの意味でアンテナの先端のLEDも光る凝りようだ。
コンパクトでデザインもすばらしく、機能まで心憎い仕様はさすがSONYと感心する。この良きDNAを現在のオーディオ製品にもぜひ生かしてほしいと思うのは僕だけではないはずだと思うのだ。
SONY COMPACT Hi Fi COMPORNENT SYSTEM Heli PLAYER PS-Q7
発売時期:1982年(昭和57年)
1982年に起きた主な出来事
- ソニーが世界初のCDプレーヤー「CDP-101」を発売。
- スティーヴン・スピルバーグ監督のSF映画「E.T.」が記録的な大ヒット。
- 東北・上越新幹線が開業。