Dig up the underground「プロダクト一機一会」 by 松崎順一
格好いい、しかしチープシックなサウンドランチャー 「PHILIPS STEREO RADIO RECORDER AW 7190/01S」
病気療養のため1年近く休載させていただきましたがようやく今回、連載を再開できてとても感謝しています。ただ、その中でもラジカセをテーマにした「大ラジカセ展」を本年も各地で行なってきました。来年も新たな企画でイベントを開催したいと思っています。イベントの開催は、いろいろな方との出会いも楽しみの一つです。
実は今回紹介するラジカセはイベントに来場した方から頂いたものだ。メーカーはフィリップス。フィリップスと言えば今はシェーバーが代名詞のような感じだが、僕の中ではカセットテープを生んだメーカーとしての存在感が強いメーカーだ。
頂いた方から詳しくお話を聞くと1989年に旅行で訪れたシンガポールで購入したものとのこと。僕の中で89年当時の国内でのラジカセの印象は、どれも黒く楕円形でデザインは画一的なもの。しかし今回のAW7190は、当時のインテリアのトレンドだった石目調仕上げで、本体もまるで兵器のランチャー砲を彷彿とさせるデザインが特徴的だ。
本体下部には肩パッド的なデザイン処理もされていて、実際に肩に乗せるとしっくりくるのである。まさに海外で言う“GhettoBlaster”そのものだ。
しかしラジカセとして、実際に音を出すと品質のチープさがたたって、迫力な音ではなくスカスカと物足りない音が出る。このあたりが海外製の限界なのか? 箱の中に入っていたレシートを見ると当時の価格で200米ドルだったようで、デザインはユニークだがスペックはひ弱だったようだ。しかしそれはそれで当時を感じさせるのである。
今後も収集に頑張り、過去のユニークなプロダクトを紹介して参ります。
PHILIPS STEREO RADIO RECORDER AW 7190/01S
発売時期:1989年(昭和64年/平成元年)
1989年に起きた主な出来事
- 新宿駅と渋谷駅にJR初の発車メロディを導入
- 美空ひばりが逝去、同年に女性初の国民栄誉賞を受賞
- NHKが衛星第1テレビ及び衛星第2テレビの本放送開始