Dig up the underground「プロダクト一機一会」 by 松崎順一
ラジカセの重低音時代はここから始まった 初代“DoDeCaHORN” 「SONY TV/FM/AM STEREO CASSETTE-CORDER CFS-W60」
少し春めいてきた2月だが家電蒐集にはまだ少し寒すぎる日々もあり、冬の蒐集手段の一つとして全国から買い取りを行っている。そんな買い取りで購入したのが今回紹介するソニーの初代ドデカホーン、「CFS-W60」だ。
型番よりもネーミングが印象的な製品で、京都のとある電気店の倉庫に眠っていたものだ。
状態は箱に入ったままのデッドストックで、一度も使われた形跡がない。
実際に電源を入れてみると、ラジオは高感度で受信ができたが、カセット部はベルトが溶けていると思われ、再生ボタンを押してもモーター音のみだった。
ラジカセは1970年代末にサンヨーが「おしゃれなテレコU4」を発売して以来、女性向けで鮮やかなカラーとキュートなデザインの製品が主流だったが、1980年代にCDの登場で、より高音質のラジカセが求められるようになる。その答えの一つとして従来のものより重低音を出せるラジカセが誕生した。それがソニーのドデカホーンだ。
スタイルは当時最先端のカラーだった黒を貴重に横長で安定感があり、グラフィックの表示もカラフルなデザインが特徴だ。そして重低音をより発揮するためのイコライザーも備え、一番下の音域は「DODECA ZONE」という名前まで付けている。
また、取っ手に輝くドデカホーンのロゴはこの機種以降、代々引き継がれていく。
初代ドデカホーンにCDプレーヤーは付いていないが、メタルカセットの高音質をさらに生かす重低音をプラスした製品は当時とても魅力的だったと思う。そしてドデカホーン誕生以降、ラジカセはより高品質、高性能化して時代と共に究極のバブルラジカセへと発展していくのである。
DoDeCaHORN SONY TV/FM/AM STEREO CASSETTE-CORDER CFS-W60
発売時期:1986年(昭和61年)
1986年に起きた主な出来事
- FIFAワールドカップ メキシコ大会
- ハレー彗星が76年ぶりに接近
- 「DRAGON BALL」TV放映開始