Dig up the underground「プロダクト一機一会」 by 松崎順一
語学用という名目でラジカセを楽しめた昭和のLL学習マシン 「SONY FM/AM RADIO CASSETTE-CORDER CF-1765」
蒐集家の基本の活動は屋外なので、今年の冬は寒すぎてかなり辛い。
昨年、以前から知り合いの方が独立して家電のヤードを埼玉県さいたま市に開いた。僕が以前からラジカセに目がなかったのを知っていて、開設後初めて訪れるとラジカセを集めてくれていた。
集まっていたラジカセはナショナルが圧倒的に多く、その次に東芝とソニーが少しと、当時売れていたメーカーのバランスが分かる。
僕がラジカセに興味を持ったのもこの頃で、僕も含め友達も一番に憧れたのはソニーだ。しかしソニーは値引がなく、街の一番大きい電気屋さんしか扱っていなかったので、仕方なく近所の電気店で購入していた。その電気店はナショナルのお店が一番多かったと思う。
そして、今回訪れた中で光っていた一品が今回紹介するソニーのLL1765だ。
見たところ使用感がなく、当時のタグも付いていてデッドストックのようだ。
このラジカセは当時、英会話の学習目的に販売され、モノラルなのに4トラック、2チャンネルという独自の録音方式を持っていた。
使い方はLL専用の教材や、片チャンネルに録音された先生の英会話に合わせて片チャンネルに自分の発声を録音し、同時に再生して聞き比べができるのだ。
しかし、今思うとLLラジカセを使って英語が上達した人は今まで会ったことがない。
このLLラジカセはモノラル機としては多機能で、みんな英会話学習という名目で親に買ってもらい、実際はラジオを聞いたり生録や多重録音したりとラジカセライフを楽しんでいたのだ。いつの時代もこの方程式は一緒だと思っています。
SONY FM/AM RADIO CASSETTE-CORDER CF-1765
発売時期:1974年(昭和49年)
1974年に起きた主な出来事
- カシオ計算機が「カシオトロン」を発売
- テレビアニメ「宇宙戦艦ヤマト」第1作が放映
- 気象庁のアメダスが運用開始