Dig up the underground「プロダクト一機一会」 by 松崎順一
電波を飛ばすギミックがスパイ映画を彷彿させた多機能ラジカセ 「NATIONAL RQ-448 MAC ff(First Fashion)」
今年、2018年の夏はラジカセをも溶かしそうな暑さが続いている。実際真夏の蒐集は注意が必要で、取引している廃家電会社の倉庫は屋根がない所も多く、並んでいる家電製品に欲しいものを発見しても手で触るときは火傷の危険性があるため、素手は絶対に厳禁なのだ。
そのような現状があって今月は比較的きちんとした倉庫がある場所を選んで蒐集をしているが、今回紹介するラジカセは巡回している秋葉原で見つけたものだ。
僕は定点観測場所を何カ所か用意していて、週に一度、月に一度など、定期的に巡回しながら今何が出ているのかを知ることで実際に集めるものを検討している。昔はユニークな家電などを発見すれば即蒐集していたがさすがに集めすぎてしまった。なので現在は本当に欲しいものだけを集めるようにしている。
さて本題のラジカセだが、今から45年前に松下電器が発売した「RQ-448 MAC ff」だ。僕も当時にナショナルのお店に展示されていたのを見た記憶がある。
この頃のファッションの傾向はアウトドアが主流で、ジーンズとポケットの多いワイルドなジャケットが流行っていた。RQ-448はそんなライフスタイルに合うミリタリー系のカラーとスッキリしたデザインが当時の若者たちに受けた製品だ。
コンディションを見るととても半世紀近くたった製品とは思えないほど程度が良く、思わず一目ぼれして購入してしまった。
ラジオは3バンドと、人気があった短波も受信可能で、カセットはモノラルでガッチリしたメカだが意外なほど滑らかに駆動する。
そしてこの機種の最大の特徴が本体横から飛び出すFMワイヤレスマイクだ。このギミックに憧れてこのラジカセを購入した人も多かったと思っている。
1970年代初頭はラジカセの横からマイクが飛び出すだけで男達はゾクゾクしたものだ。そしてモノラルながら入出力端子も備え、当時の若者達にラジカセの新しい使い方を提案した名機だ。
NATIONAL RQ-448 MAC ff(First Fashion)
発売時期: 1973年
1973年に起きた主な出来事
- 三菱自動車工業「ランサー」を発売。
- 「ひらけ! ポンキッキ」放送開始。
- 渋谷PARCO Part1開業。