Dig up the underground「プロダクト一機一会」 by 松崎順一
携帯電話のない時代のハンディコミュニケーションツール 「SONY ICB-650 Little John」
これでもかとまだまだ残暑が厳しい日々が続いている毎日、お盆は僕の行く収集ポイントは休みのところが多く、お盆でも開いているリサイクルショップなどを覗いている。
関東近県のリサイクルショップは、東京に近いエリアでも運が良ければ珍しいものと出逢うこともよくある。そして某ショップで出会って購入したのが、半世紀近く前に発売されたトランシーバーだ。
トランシーバー(無線通信機)はいろいろな種類があり、免許のいらない簡易的なものと、免許を申請すれば使用できる通称CB無線と呼ばれるもの、国家試験が必要なアマチュア無線があり、それぞれの違いは主には出せる電波の強さと使える電波帯だ。今回は子ども向けおもちゃのトランシーバーも見かけたがそれなりに楽しめる。
そして今回紹介するものはCB無線のトランシーバーとしてソニーが発売した「ICB-650」だ。CBとはCitizen Bandの略で通称「市民無線」と呼ばれている27MHz帯を使用する無線だ。細かい説明をするとそれで終わりそうなので全体感を見てみたいと思う。
大きさは一番初期の携帯電話のサイズよりもやや大きい。ショルダーベルトも標準装備している。デザインは顔に当てやすいくの字型になっている。
本体正面には送信チャンネルの切替スイッチと送信ボタンがほぼ中央に配置されている。さらにボリュームやスケルチ※は上部に配置され、アンテナも堅牢な造りで実用を重視した設計になっている。本体は防水仕様でさまざまな条件下で使用することが可能だ。
CB無線用トランシーバーといえば無骨なものも多かったが、ソニーが作ると流石に洗練されたデザインになる。当時一世風靡した製品だった。
※受信時にノイズをカットする装置。
「SONY ICB-650 Little John」
発売時期: 1972年
1972年に起きた主な出来事
- コンコルドが東京国際空港(現:羽田空港)に飛来。
- 刑事ドラマ『太陽にほえろ!』放送開始。
- 最後の月面着陸となったアポロ17号打ち上げ。無事地球に帰還。