Dig up the underground「プロダクト一機一会」 by 松崎順一
ウォークマンのテクノロジーが生かされたソニーのステレオラジカセ 「SONY STEREO CASSETE-CORDER CFS-9(YOKOHAMA REVERS)」
一気に秋が深まって来たこの頃、収集はマイペースで時間が取れた時に一気に巡回するようにしている。そうした中で全く別件で立ち寄ったショップの棚の最上段にひっそりと置かれたこいつを発掘した。場所は東京都に限りなく近い埼玉県だ。発売年は1983年と、35年前の製品だが今見ても色あせていないデザインのラジカセだ。
今回も箱入りで入手した。ただ、新品ではなく使ったものを箱に入ってしまっていたようだ。残念ながら取扱説明書は欠品だった。
では箱から見てみよう。箱は赤色を使った1色刷りだがひと目でソニーと分かる洗練されたデザインのパッケージだ。
さらに中を開けると発砲スチロールの緩衝材に挟まれた本体が登場する。箱の中では宙に浮いている状態だ。写真では見えないが、本体の横にはACアダプターを収納する部分が別になっている。その純正のアダプターは意外と大きくしっかりした作りだ。
それではCFS-9の本体を見てみよう。ペパーミントグリーンが鮮やかな筐体は当時流行ったカラーで、全部で4色あったようだ。ちなみに他の色はピンクとレッド、そしてホワイトだ。カセットの蓋には大きく書かれたAUTO REVERSの文字がこの製品の特徴を表している。ラジカセでオートリバースが登場しだしたのが83年頃で、CFS-9もヨコハマシリーズの中では初の搭載機だ。これだけコンパクトになったのはソニーが誇るウォークマンの進化による所が大きい。CFS-9がコンパクトになったのもウォークマンの最新メカを応用したからだ。
操作ボタンを見ると当時のウォークマンと同じ配列で、移植されたのがよく分かる。
そしてFMラジオは当時のテレビの3チャンネルまでが入るワイドバンド仕様になっている。
電池は単二電池を4本使用する6ボルト駆動になっている。
あらためて全体を見ると嫌味のないシンプルなデザインと操作部で誰でも扱いやすいラジカセに仕上がっている。大きさも重さもちょうどいい感じである。
カセットテープがリバイバルしている昨今、CFS-9のようなラジカセが復刻したら楽しいと思うこの頃である。
「SONY STEREO CASSETE-CORDER CFS-9(YOKOHAMA REVERS)」
発売時期: 1983年
1983年に起きた主な出来事
- ARPANETがTCP/IPプロトコルに切り替わり、インターネットが開始。
- 大林宣彦監督『時をかける少女』映画公開。
- YMO(イエロー・マジック・オーケストラ)が「散開」を発表。