Dig up the underground「プロダクト一機一会」 by 松崎順一
白黒のポータブルテレビは1家に1台から1人に1台の時代を告げる製品だった 「SHARP PORTABLE TV 5P-V1U LYNX45」
夏の暑さから一気に寒さを感じる季節になった。日中は比較的暖かく朝晩はかなり温度が下がり、秋なのか初冬なのか判断がつきにくい気候のために先日風邪をひいてしまった。ここ数年は風邪をひかなかったのだが急激な寒暖差にやられてしまったようだ。
そんな寒さが身にしみるようになった昨今、収集は相変わらず続いているが、ここしばらしばらくはなかなか面白いプロダクトに巡り会うことがなく更新が少し遅れてしまった。収集はあくまで出会いという縁なので、縁がない時は全く出会いがない。近頃は仕事として古いブラウン管テレビを少々集めて回っている。テレビの大きさは14インチから25インチクラスで、25インチのブラウン管テレビは今持つとかなりの大きさと重さを感じる。
そして今回はブラウン管テレビを探しに巡回中に見つけた、こちらもブラウン管テレビのポータブルタイプの製品である。発掘当時は本体以外に箱も取説もなく本体横に貼られた77年製というシールで製造年が分かっただけだった。
1977年頃はどの家電メーカーもポータブルタイプのテレビを作っていたようで、ナショナルは「レンジャー」というテレビを、ソニーは以前紹介した「ミスターネロ」を販売していた。そんな中でシャープが市場に送り込んだのが今回紹介する「リンクス45」だ。
本体を正面から見てみるとテレビ画面の遮光フードが大きく開いた口のようで、テレビとしてはかなりユーモラスな風貌で画面のサイズは4インチくらいである。
そして横から見るとVHSテープ時代の一体型ビデオカメラのようなどっしりしたデザインだ。取手に付いたアンテナでテレビかな? と分かる程度である。
さらに斜め前から見ると確かにビデオカメラを彷彿させる。ただフードの上についたテレビの切り替えスイッチと丸窓の周波数スケールでテレビだと分かる感じだ。周波数スケールは同時期に販売されていたソニーの「ジャッカルFX-300」によく似ている。
切り替えスイッチの下のLYNX45のロゴもオシャレだ。
ちなみに上から覗くとこんな感じで取手にロッドアンテナが奇麗に収まっている。
LINX45の下部には可変式のスタンドも装備され、若干の角度調整が可能だ。
そしてポータブルテレビということで電池ボックスが底部にあり、単一乾電池9本でも動作する。
背面にはテレビなので細かい調整ツマミがあり、外部アンテナ端子も通常のテレビと同じように配置されている。家で使っても十分楽しかったがこの時代は屋外で使う方が優越感があったのではないかと思っている。
「SHARP PORTABLE TV 5P-V1U LYNX45」
発売時期: 1977年
1977年に起きた主な出来事
- 日本専売公社が「マイルドセブン」を発売
- 日本国有鉄道が宮崎県日向市に「浮上式鉄道宮崎実験センター」(宮崎リニア実験線)を開設
- 日本テレビ「アメリカ横断ウルトラクイズ」が初放映