Dig up the underground「プロダクト一機一会」by 松崎順一
テレビを携帯することがステータスだった時代に生まれたフラットテレビ「SONY FLAT BLACK AND WHITE TV FD-20 watchman」
1年の中で1番寒い時期の蒐集活動はかなり辛い。ただ家電は時期に関係なくコンスタントに出てくるのでうかうかはしていられない。余談だが先日定点観測している埼玉の某所で、家電ではないが古い書籍が大量に廃棄されていた。思わず見入ってしまい寒風の吹く中掘ってしまった。そして掘り起こしたのは昭和7年に製本された日本軍の写真集だった。当時の戦意高揚している時代がそのまま一冊の本として残されていた。現物は持っているので見たい方がいたらお見せしたいと思う。
さて本題に入るが今回はソニーが1980年代に発売した、液晶ではなく内蔵したビーム管から平面スクリーンに映像を投影する扁平ブラウン管を搭載したアナログな携帯テレビを紹介する。
まず本体だが、シルバーで統一されどの角度から見てもスッキリとまとめられている(情報によるとブラックもあったようだ)。今回紹介するのは「FD-20」という型番でウォッチマンという名称が付いている。ただFD-20が初代ではなく「FD-200」というモデルが1年前以前に発売されている。こちらはブラック一色仕様で名称もフラットテレビと呼んでいた。
さてFD-20のサイズだがカセットテープのケースと比較するとよく分かる。横幅はほぼカセットケース、高さはケースの約1.5倍だ。
そして奥行きはほぼケース2個分とコンパクトな設計になっている。正面下には小型のスピーカーを内蔵し画面のサイズは2インチくらいだろうか。ちなみに表題通り画面は白黒だ。カラー画面はまだ先の時代になる。
画面の下にはVHFとUHFの2バンドの周波数のスケールが確認できる。
また、右側面にはボリウムとチューニングダイヤル、そして電源のON/OFFのスイッチが並んでいる。つまみ類は指で操作しやすいように溝が彫ってあり滑りにくい構造になっている。
左側面にはバンド切り替えスイッチと外部電源入力とイヤフォンジャック、そして特筆すべきは映像入力端子が付いており、テレビだけではなくビデオやその他の映像を映すことが可能だ。そしてトップにはロッドアンテナも内蔵している。
また、底面にはブラウン管テレビに必要な水平同期用のトリマーとコントラストの調整トリマーがさりげなく存在する。
背面に電池ボックスがあり、単三型乾電池4本6Vで駆動する。
背面中央にはテーブルに置くときに本体を傾けて固定する脚が付いている。
シンプルながらポータブルとしてよく考えられたハンドユースタイプのテレビだ。ウォッチマンはこの後90年代まで永く続くロングセラーの商品となる。
「SONY FLAT BLACK AND WHITE TV FD-20 watchman」
発売時期: 1983年
1983年に起きた主な出来事
- 劇場用アニメ映画『宇宙戦艦ヤマト 完結編』
- 中国自動車道が全線開通
- 森永製菓「パックンチョ」発売