Dig up the underground「プロダクト一機一会」by 松崎順一
MD(Mini Disc)普及拡大のためMDに特化したパーソナルオーディオシステム 「SONY PERSONAL MINI-DISC SYSTEM ZS-M5(MDIO/エムディオ)」
長く寒かった季節からようやく春が感じられるようになってきた今日この頃、日中の蒐集に出掛けるのはだいぶ楽になってきた。この時期は衣替えや入学、入社など今までの環境が変わる時で、不用品などが普段よりも多く処分される時期でもある。時間があればなるべく定点観測を行なっているが、某観測点(お店)でさりげなく置いてあったのが今回紹介する製品だ。
数年前まで持っていた機種だがその後仕事で手放した記憶があり、今回偶然に見かけて思わずゲットした。それがソニーが1997年に発売した「ZS-M5」だ。ソニーが当時販売していたMDIO(エムディオ)シリーズの中の一台で、まさにMDのオペレーションに特化した製品だった。
今回発掘したZS-M5は本体と専用電源コード、そして純正のAM用ループアンテナが付属している。残念ながらカード式の専用リモコンは無かった。
それでは本体を具体的に見てみよう。
本体は比較的コンパクトにまとめられているが、重量は6.2kgと意外にズッシリとしている。特にこだわっているというよりはプラスチック部分の厚みがあり、堅牢に作られている感じがする。
また、上部には移動のためのハンドルも装備されている。使用するときに持ち上げるタイプのハンドルだ。ただ、持ったときのバランスはややトップヘビーでバランスは良くない。また本体のデザインはラジカセに近いが電池ボックスは無く、あくまでAC専用機器だ。
そしてM5の正面を占めるブルーのサランネットは鮮やかで印象的だ。
ちなみにネットを外すとスピーカーが現れる。この状態もそれなりにカッコよく、スタジオモニターなどにも使われているM5はサランネット無しも多い。
また正面にはヘッドフォン端子が2個ついておりウォークマン以来のソニーのこだわりが感じられる。またZS-M5はラジオ(AM、FMはワイドバンド仕様ではなく残念)とCD、そしてMDが搭載され、特にCDからMDへは編集しながらのダビングが可能だ。
MDの操作は上部のカバーを開けると(電動)現れるエデットボタンで、曲順やタイトル入れなど多彩な編集と録音が可能だ。
背面にはLINE INの端子があり外部からの入力もできる。
MDはソニーが次世代のメディアとして1990年代初頭から力を入れたデジタルメディアで、音楽MDソフトもリリースされたがデーターの圧縮により音質が劣化することやポータブルのハードが主体だったため、オーディオマニアが飛びつくことは少なく盛り上がらないまま市場が縮小していった。
そのためソニーがMDの価値を高めるために投入されたのが、ZS-M5を含むMDIO(エムディオ)シリーズだったと思っている。
「SONY PERSONAL MINI-DISC SYSTEM ZS-M5(MDIO/エムディオ)」
発売時期: 1997年
1997年に起きた主な出来事
- 映画『もののけ姫』公開
- アップルコンピュータ、Mac OS 8リリース
- サッカー日本代表がワールドカップ(フランス大会)初出場