Dig up the underground「プロダクト一機一会」by 松崎順一
常識を破ったボックススタイルのモノラルラジカセ「SONY Radio-Cassette-Corder CFM-11 MUSICAN」
2019年はずっと不安定な気候が続いているが、蒸し暑い日々が続き確実に夏に向かっていると実感する今日このごろだ。本年、蒐集はコンスタントに行なっているが、ラジカセの蒐集が近年と比べるとかなり少なくなってきており全体的に数が減少しているように思っている。そんななか今回は久しぶりのラジカセの収穫になる。
今回ゲットしたラジカセは1980年代初頭に発売された縦型のボックススタイルで、当時のラジカセのデザインからするとかなり亜種的なラジカセだ。発売元はいつの時代も革新的な製品を出してくるイノベーション企業、ソニーだ。
機種名は「CFM-11」、別名ミュージカンといい発売当時は赤と銀の2色展開だった。今回はその赤の方を入手した。実は赤の方が流通量は少なく、銀よりは若干だがレアな製品だ。その後このデザインのままステレオ化して製品としての寿命は終わった短命の機種だった。それでは具体的に製品を見てみよう。
まず本体だがそれほど大きくはなく、カセットケースの幅より少し大きい程度だ。正面から見ると、カセットテープが入る扉部分とスピーカーで本体がほぼ埋め尽くされているシンプルなデザインだ。
斜め横から見てもほぼ四角形、取手も全て本体のスペースに収まる設計で、本棚などに置くときにも突起が少なく扱いやすいデザインだ。
更に上部を拡大して見ると手前にカセットの操作部があり、その奥にボリュームとトーン調整ダイヤルが仲良く並んでいる。
そしてその横がカセットとラジオの切り替えスイッチだ。基本的な操作はほぼこの上面でできる。
そしてカセット扉の上部にはラジオのチューナーが見える。ラジオはAMとFMの2バンドが受信可能だ。FMはワイドバンド対応で現在のFM補完放送も受信できるのは便利だ。
カセットテープの扉はイジェクトボタンを押すと手前に開き、カセットテープを逆さにして挿入するスタイルだ。
本体の正面右側には本体と段差のないラジオのチューニングつまみと、その下にミキシング用のマイク入力端子とボリュームが付いている。
反対側にはマイク端子とイヤフォン端子、そしてAC電源のジャックを備えている。ACジャックが真横にあるため本体のジャック側にはものが置けないのは残念だ。
そして背面もほとんどを電池ボックスが占めていてフラットにまとめられているが、FMアンテナの収容部分だけはなぜか飛び出している。
また、電池ボックスは単一乾電池を6本使用する。モノラルながらパワーもあり、意外と大食いなコンパクト機だ。
ミュージカンは、発想は面白かったが装備がシンプルすぎて使う楽しさが少しかけていたのではないかと推測する。現代に新しい技術を入れてよみがえったら面白い気もするラジカセだ。
「SONY Radio-Cassette-Corder CFM-11 MUSICAN」
発売時期: 1981年
1981年に起きた主な出来事
- 赤城乳業「ガリガリ君」販売開始
- 映画『セーラー服と機関銃』公開
- ピンク・レディーが後楽園球場でのコンサートをもって解散