Dig up the underground「プロダクト一機一会」by 松崎順一
サウンドクリエイトマシンと呼びたいスタイルも斬新なステレオラジカセ「SONY FM/AM Stereo Radio Cassette CFS-C7 CHORD MACHINE」
暑さもだいぶ落ち着いてきたこの頃だが、知らぬ間に秋が近づいている感じがする。そんな中での蒐集はアトリエにいるよりも快適だ。今回紹介する製品は、たまたま仕事でお邪魔した埼玉県の某所で発掘したソニーの「コードマシン」(1982年製)だ。
1982年頃のラジカセは大型化が進んだ時代で、どのメーカーも大出力&大型化に走り、ポータブルとしてギリギリのサイズまで巨大化が進んだ。その中にあってソニーは全く次元の違うステレオラジカセを発売した。それが今回紹介するコードマシンだ。
真っ赤な筐体に黒い取手がある以外はこれが何であるかは開くまで分からない。ミュージシャンが楽器をケースに入れて持ち運ぶような感覚を持つユニークなステレオラジカセだ。今回の蒐集も本体のみで、箱や付属品は残念ながら欠品だった。それでは本体を見てみよう。
本体は長方形で上部に取っ手がある以外は、これが何なのかを示すものはほとんど見えない。ちなみに横幅は60cm弱ある。赤と黒のコントランスも何気にカッコ良い。
そして片手で持って見ると変に軽くなく、ズッシリとした重さを感じる。前の年あたりにソニーから発売された「CFS-88」というラジカセは持ったときのバランスがとても悪かったがこのCFS-C7は意外と持ち易い。
本体の両サイドには白いツマミが付いており、このツマミを90度回すと開く仕掛けになっている。このとき気をつけないといけないのは本体側が重いので、重い方を下にしないとスムーズに開かない。
本体は左端がカセットテープレコーダー、その右隣がラジオで、通常のラジカセよりもコンパクトなレイアウトになっている。
そして本体の約半分を占めるのが、このラジカセの最大の特徴であるコード演奏と少しだがリズムが鳴らせるキーボード。当時としてはとても斬新だ。
そして本体とスピーカー部分は切り離して使えるのも特徴の一つだ。
スピーカーの横にスピーカーコードが内蔵されており、本体と接続することによって音が出る仕組みになっている。本体の横にはその他の入出力端子などもまとまっている。
さらに本体の反対側にはFMラジオ用のロッドアンテナが内蔵されており、伸ばせば良好な受信が楽しめる。ちなみにFMはワイドバンド設計になっている。
本体の背面には電池ボックスがあり、単一乾電池を6本使い9Vで動作する。
この時代はホームカラオケも流行り、ラジカセにもカラオケの機能が付いたものも多かったが、このラジカセはその中でも異色な存在だったと思われる。ただ同年にシャープから「メロディサーチャー」という同じコンセプトのラジカセも出ている。当時の多機能化の一つとして方向性があったのかもしれない。
「SONY FM/AM Stereo Radio Cassette CFS-C7 CHORD MACHINE」
発売時期: 1982年
1982年に起きた主な出来事
- フィリップス・レコードが世界初のCDソフト「四季」を発売
- 映画『E.T.』(ユニバーサル)公開
- マイケル・ジャクソンのアルバム「スリラー」発売