Dig up the underground「プロダクト一機一会」by 松崎順一
ちょっぴり未来感が漂ったヘッドセットタイプのトランシーバー「SONY ICB-1000 WALKIE-TALKIE (My first SONY)」
たぶんMy first SONYシリーズはこのコーナーでも一番多く取りあげてきたと思う。それはやはりバリエーションの多さと、今なお色あせないデザインの秀逸さが、どの製品よりも魅力的と感じるからだろう。そんなMy first SONYシリーズがまた一つ発掘された。
いつもの定点観測で立ち寄る、限りなく埼玉県に近いリサイクルショップにさり気なく置かれていた。この日はカセットタイプのウォークマンも箱入りで発見したが、結局こちらをゲットしてしまった。
今回ゲットしたトランシーバーはMy first SONYの中でもヘッドセットタイプという、ハンディタイプとは異なるデザインで、シリーズの中でも凝った造りになっている。またMy first SONYシリーズといえば数年前に香港にできた現代アートの美術館M+ Pavilion(M+ 展亭)が日本の名作と呼ばれる家電を収蔵する際にお手伝いをさせて頂いた事があるが、キュレーターの方にお勧めした家電の一つがMy first SONYシリーズだった。
それでは本体を見てみよう。ダメージはあるが外箱もあって当時の雰囲気を感じることができる。My first SONYは海外にも輸出していたのでモデルの子どもも外国人が採用されている。
また、外箱の裏側に使用方法が細かく記載されており、実際の使い方はこれで十分に思える。もしかすると取説は無かったのかも知れない。
そして箱を開けるとこんな感じで2台が重なるように収納されている。ヘッドセットタイプの製品は本体がかさばるので、外箱の大きさの割に中はがらんとしている。
本体の電源スイッチはスピーカーと反対側にあり、音の大きさもLOW/HIGHの2段階に調整可能になっている。
先端のマイク部分はフレキシブルに調整が可能な仕様になっている。
さらに耳当ての部分は電池ケースになっており、My first SONYと書かれた部分を少し回すとキャップが外れ、006P型9V電池を入れるようになっている。
スピーカー部分の耳当てのスポンジは、よくある加水分解によってベタベタになっているのが少し惜しい。
製品自体の大きさは子ども(幼児)用なのでかなり小さい感じがする。また本体は全て曲面で処理されており、取り扱いによるけが対策も十分考えられている。
My first SONYはどの製品もコンセプトがユニークで、既にある技術を子ども向けというコンテクストに落とし込みブランディングをした、1970年代のウォークマンのDNAを受け継いだソニーらしい製品で、筆者が大好きなシリーズの一つだ。
「SONY ICB-1000 WALKIE-TALKIE(My first SONY)」
発売時期: 1988年頃
1988年に起きた主な出来事
- ファミコン用ソフト「ドラゴンクエストIII」発売
- 東京ドーム完成
- 映画『となりのトトロ』公開