Dig up the underground「プロダクト一機一会」by 松崎順一
ソニーのコンパクトイノベーションが生んだデジタル幕開け時代の申し子「SONY PORTABLE CD PLAYER D-50MkII Discman」
今年(2020年)はついに本格的な雪が東京でも降らなかった。筆者がこの時期思い出すのは2011年の東日本大震災だ。今は終わってしまったが、当時テレビで「熱中時間~忙中“趣味”あり~」という番組があった。内容は「情熱大陸」(TBS)のNHK版で、今はやりの変わった人をリスペクトする番組の先駆けだった。その中で「ラジカセ熱中人」というタイトルで、3.11の1カ月前に1泊2日で東北に出かけ、朝から晩まで筆者がラジカセを収集する様子を撮影した。2月の東北は凍りつくほど寒かったが、収集が終わりロケも終了した後に近所の居酒屋でスタッフの方々と打ち上げをしたのは楽しい思い出だ。
しかしその1カ月後に起こった大震災で、その収録はお蔵入りになってしまった。毎年春になるとそのことを思い出してしまう。今回紹介する品は、そんな東北にお住まいの方から今年郵送で譲っていただいたソニーのディスクマンだ。それでは詳しく見てみよう。
今回譲っていただいたのは本体とバッテリーケース、そしてキャリングケースだ。残念ながらオリジナルのキャリングベルトはなかった。
そして D-50MkIIのデザインは初代「D-50」と比べるとかなり洗練されている。本体の高さも初代と比べると1cmほど低い。
そこにバッテリーケースを装着するとD-50とほぼ同じ高さになる。D-50MkIIはそれだけ改良が進んだといえる。
本体正面は液晶ディスプレイと操作ボタンの構成だ。
ディスプレイは曲順と時間の表示用で、再生ボタンの隣にある巻き戻しと早送りボタンでサーチしながら頭出しもできる。さらに青のボタンはファンクション系の操作用になっている。
また、本体の正面右側には音量調節ダイヤルと、ヘッドフォン端子、電源スイッチが並んでいる。反対側には、バッテリーケース着脱用のレバーがある。
CDを入れる際は、右端にあるOPENボタンを押すとふたが開く。
ディスクの固定は、現在のようにCDを軸にはめ込むタイプではなく、ふたの裏に付いた円盤状のクランプで押さえる仕組みになっている。
また、ふたにはディスクが入っているのを認識できる小窓がデザインされている。窓の横にDiscmanのロゴが誇らしげに印刷されている。実は初代にはロゴはなく、2代目のD-50MkIIからDiscmanの称号が付く。
バッテリーケースを外すと電池室が現れる。単三形乾電池8本で駆動する。
背面には出力端子と電源端子がある。1985年頃はまだまだカセットウォークマンが全盛の時代だったが、D-50MkIIはそんな中でひときわ目立つ存在だったことだろう。
「SONY PORTABLE CD PLAYER D-50MkII Discman」
販売時期:1985年
1985年に起きた主な出来事
- 首都圏でオレンジカードの利用/販売開始
- 秋元康プロデュース「おニャン子クラブ」誕生
- 羽生善治が史上3人目の中学生プロ棋士(将棋)になる
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