Dig up the underground「プロダクト一機一会」by 松崎順一
化粧品のようなパレットの中に潜むパズル型ステーショナリー「BANDAI Bcollection PALETTA COM」
家電の進化もそうだが、さまざまなプロダクトについて、ここのところ1980年代が再び熱く語られることが多い気がしている。少し前にテレビで放映された「ハイポジ 1986年、二度目の青春。」のオフィシャルブックや、マガジンハウス発刊の「平凡Special 僕らの80年代」には筆者も少し当時の思い出を寄稿させていただいた。筆者の80年代は会社員として仕事に追われていた頃で、唯一の楽しみがオーディオだった。中でもウォークマンは大好きで、夜に自宅で録音したカセットテープを休日の野外で聴く時間が好きだった。
80年代には他にもさまざまな名プロダクトが誕生している。今回紹介するのは玩具メーカーのバンダイが1986年に発売した文具セット「パレッタコム」だ。文具セットは1984年にプラスが「チームデミ」を発売して記録的な大ヒットを生んでいる。そんな背景のなか生まれたパレッタコムを見てみよう。
まずパレットの外観は、化粧品のファンデーションのケースを彷彿させるブラックとアクセントのグリーンが上品さを演出している。
開けてみるまでは誰もが文具ケースとは思わないだろう。本来は紙パッケージに入っているが今回は本体のみ入手した。唯一の付属品は取扱説明書だ。
パレットの中央にオリジナルロゴで「PALETTA COM」と印刷されている。このイメージも一見、化粧品を思わせる。
ふたを開けるとまず目につくのが、カラフルなパズルのように収まった10種類の文具だ。
その使用方法が付属の取説に細かく表記されている。ただ文字は小さく筆者のような老眼にはちょっと厳しい。
7つの文具を取り出してみた。この7つでパレットの約半分を占めている。
そして全てを取り出すとパレットの底に配置方法を記したラインが現れる。確かに全てを取り出したあと、戻すときにこれがないと大変なことになりそうだ。
ここでいくつかの文具を見てみたい。まずパレットの中で一番目立つ「シザース(取説での読み名。以下同)」。ハサミは組み立て式で、デザイン優先のためか大人の手には小さすぎて実際に使用するには使いづらい。
「トゥイザーズ」。ピンセットはキャップを外すと使用可能になる。
「ルーラー」。定規はちょっとした線を引いたり測ったりすることが可能だ。
そしてもう1つは「テープカッター」だ。本体は青と赤で構成され、付属のテープが黄色という、テープの色にまでこだわった文具だ。そのため現在はこの専用テープを入手するのがかなり難しいと思われる。
最後はバンダイの「Bcollection」のロゴになる。当時は若干のバリエーションがあったらしいが、筆者が記憶しているのはパレットの中が電卓になっているものだ。筆者としては今使うのであればこちらの方を欲しいと思っている。
「BANDAI Bcollection PALETTA COM」
販売時期:1986年
1986年に起きた主な出来事
- ハレー彗星が大接近
- 上野動物園のジャイアントパンダ、トントン(童童)誕生
- ファミリーコンピューター用ゲームソフト「ドラゴンクエスト」発売