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イベントレポート

衛星測位で自律走行する自作ロボットカーが勢揃い! 「GPS・QZSSロボットカーコンテスト2015」

衛星から配信されたメッセージから判断して走行するQZSSスクランブル

QZSSスクランブルには計10チームがエントリーした。QZSSスクランブルは、準天頂衛星(QZSS)から受け取った簡易メッセージ(災危通報)の内容から、目的地となるユニットの位置を判断して順番にたどり着き、走行時間の短さを競う種目。競技場は3m四方に区切られたユニットが縦7個×横7個の計49個並んだ形となっている。

49個のユニットに分けられたQZSSスクランブルの競技場。 49個のユニットに分けられたQZSSスクランブルの競技場。

QZSSから配信される簡易メッセージでは、49個のユニットのうち到達しなければならない3つのユニットが、各チームごとに指定される。出走する直前までどのユニットが選ばれるのか知らされないので、スタート時に初めて進むべきルートが判明する。

QZSSからのメッセージ受信を知らせるランプ。 QZSSからのメッセージ受信を知らせるランプ。

こちらもダブルパイロンレース以上にDNSや途中棄権が多く、10チームのうち、ポイントを獲得したのはわずか3チーム。そのうちの1つは、本大会の事務局スタッフでもある測位航法学会の岩城善広さんとその息子さんによるチーム「大田原ロボット研究所」だった。

QZSSスクランブルでポイントを獲得したロボット・インフィニティ2015。 QZSSスクランブルでポイントを獲得したロボット・インフィニティ2015。

大田原ロボット研究所チームのマシン「ロボット・インフィニティ2015」は、2枚のマイコンボード(Arduino)を搭載し、センサから受け取った情報の解析を行うボードと、スピードや方向の制御を行うボードで分かれている。また、QZSSスクランブルでは、衛星からメッセージを受信したときや、指定されたユニットに到達したときはランプ点灯などのアピールが必要だが、このアピール動作をロボットが両手を挙げる動きで行っている点も特徴だ。走行中も首を左右に振ったり、腕を交互に上げたりと、見ていてとても楽しい。

両手を挙げてメッセージの受信やユニットへの到達をアピール。 両手を挙げてメッセージの受信やユニットへの到達をアピール。
情報解析と駆動制御を2枚のマイコンボードに分担。 情報解析と駆動制御を2枚のマイコンボードに分担。

最初のうちは指定されたユニットに入ってアピールを行い、ポイントを取得したロボット・インフィニティ2015だが、後半は指定されたユニットとは異なる場所でアピールするなど、ミスが何回か発生した。

ロボット・インフィニティ2015の走り。

一方、ダブルパイロンレースで高得点を挙げたKevinもQZSSスクランブルに出場。Kevinは前回のQZSSスクランブルでも優勝しており、どんな走りを見せるか期待が高まった。ところが、2回行われるうちの1回目のレースでハプニングが起きた。QZSSスクランブルでは、観客がわかりやすいように、衛星からのメッセージで指定された3カ所のユニットの部分に目印となるパイロンが置かれる。車体ごとにユニットの位置は異なるため、毎回パイロンの位置を変更してからレースを行うのだが、Kevinのときは、衛星からのメッセージで指定されたユニットと、コース上に置かれたパイロンの位置が違うという事態が発生し、記録はノーカウントとなってしまった。

これにより、暫定的にロボット・インフィニティ2015が1位となったが、2回目のレースではKevinが指定された3カ所すべてのユニットおよびゴールのユニットに到達してアピールするという、ほぼ完璧な走りを見せて見事に逆転を果たした。なお、Kevinもロボット・インフィニティ2015と同様に、アピールをランプの点灯ではなくぬいぐるみの上下動作で行っていた。 

QZSSスクランブルで完璧に近い走りを見せたKevin。

閉会式では、コンテストの上位入賞者に記念品として「Nexus7」などが贈呈された。DNSやリタイヤも多かったが、どの参加者もとても楽しそうな顔ばかりだ。

ダブルパイロンレースで優勝したチームFNCTの2人。 ダブルパイロンレースで優勝したチームFNCTの2人。
QZSSスクランブルで優勝し、ダブルパイロンレースでも準優勝を獲得したチームAmano Lab.。 QZSSスクランブルで優勝し、ダブルパイロンレースでも準優勝を獲得したチームAmano Lab.。
QZSSスクランブル準優勝のチーム大田原ロボット研究所。 QZSSスクランブル準優勝のチーム大田原ロボット研究所。

競技担当責任者である熊本高等専門学校(熊本高専)建築社会デザイン工学科教授の入江博樹さんは、コンテストの魅力について、「一番の特徴は、屋外で行うために不確定な部分がある点です。GPS受信機を取り扱うためには、外に出て実際に試すという“現場力”が不可欠です。他にもセンサやメカなど、いろいろなことがわかっていないと勝てない、総合力が問われるコンテストだと言えます」と語る。広々としたフィールドで衛星測位を利用したロボットカーの性能を競うという、他にはない魅力を持ったこのコンテスト、来年以降はどのようなロボットカーが登場するのか、実に楽しみだ。

競技担当責任者の入江博樹さん。 競技担当責任者の入江博樹さん。

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