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ハードとソフト/企業と企業の垣根を越えて

「FlashAir x Bluemix ハンズオン&アイディアソン」レポート

共同開催のきっかけはハッカソン

同人誌まで発行してFlashAirのオープン戦略を進める東芝。 同人誌まで発行してFlashAirのオープン戦略を進める東芝。

製品の設計情報やSDKを公開して多くのユーザーを巻き込んでいく取り組みは、オープンイノベーション戦略として少なからぬ企業が採用している。なかでもFlashAir開発チームは、MakerFaireへの出展や同人誌の出版、アイデアソンやハッカソンの主催、デベロッパーコミュニティの運営など、ユーザーとの密な関係づくりに精力的だ(詳しくはこちらのインタビュー記事へ)。

東芝と日本アイ・ビー・エムの共同主催となった今回のイベント。開催のいきさつを伺ってみると、2015年5月に行われた「ABC Hackathon 」(主催:朝日放送)の会場で、たまたまブースが隣になったことがきっかけになったという。会社の垣根を越えたコラボレーションの背景には、社外での偶然の出会いが潜んでいたようだ。

ユーザーのみならず、他の企業をも巻き込んだコミュニティにはどのような可能性が潜んでいるのだろうか。イベントを主催した、日本アイ・ビー・エムの木村桂さんと、東芝の米澤遼さんにお話を伺うことができた。 

生活と結びついた具体的なアイデアが続出

イベントを主催した日本アイ・ビー・エムの木村桂さん。 イベントを主催した日本アイ・ビー・エムの木村桂さん。

——これまでにもIBM Bluemixを題材にしたハッカソンを開催されてきましたが、今回は東芝と合同主催ということで、何か違いはありましたか?

「IBM Bluemixはソフトウェアなので、スマホやパソコンで見る何かを作るということが前提になります。一方、FlashAirはSDHCカードという物理的なものなので、実際に手に取ってどこかに挿すという具体的な使い方が想像できます。

ソフトウェアだけだと良くも悪くも仮想的なものができてくるのですけど、それがFlashAirと組み合わせた提案になると実際に目の前にものがあるので、自分の生活の中でも使ってみようと思えるものになる。そういう意味では、画面内のソフトウェアと物理的なハードウェアの組み合わせのアイデアソンってすごく面白いなと思いました」 

「世論コーヒー」は、twitterやFacebookの文章を分析して、世相を反映した味のコーヒーが淹れられるコーヒーメーカーのアイデア。 「世論コーヒー」は、twitterやFacebookの文章を分析して、世相を反映した味のコーヒーが淹れられるコーヒーメーカーのアイデア。

——参加者のプレゼンテーションはいかがでしたか?

「本当に僕らが普段思いつかないようなアイデアが、いくつも出てきました。コーヒーメーカーのアイデアなんて、普段からコーヒーが好きで飲んでいるような人じゃないと思いつかないですよね。単に普段の業務に結びつけるだけではなく、いろんな人が自分の生活や趣味と組み合わせようとしているのが刺激になりました」 

企業は自社にないものを必要としている

日本アイ・ビー・エムと一緒にイベントを主催した東芝の米澤遼さん。 日本アイ・ビー・エムと一緒にイベントを主催した東芝の米澤遼さん。

——今日の感想を教えてください。

「アイデアソンをやると、“空を飛ぶ車”みたいな突飛すぎるものがよく出てくるんですけど、今日はよかったですね。こんな良いアイデアばっかり出ると思わなかったです。FlashAirは結構現実的なデバイスなので、アイデアを考える制限として結構ちょうどいいんですよね。IBM Bluemixで使える画像解析APIやデータベースなどの紹介もあり、ネタがいい具合に絞れた感じがします」

——きっかけはABC Hackathonでの出会いだったそうですね。

「APIを提供する企業って、ハッカソン中は結構時間があったりするんですよね。暇になると、隣に座っていた企業の人とお互いの技術について話をしたりする。だから、アイデアソンやハッカソンに参加するということは、成果物そのものに期待する面もあるのですが、企業同士で繋がっていくチャンスを見つけるという意味もあるのかなと思っています。

特に、今はIoTが取り沙汰されていますので、デバイス屋さんはIoT向けのデバイス、クラウド屋さんはIoT向けのクラウドをそれぞれ提供します。ところが、全部提供できるところはあまりない。デバイス屋とクラウド屋がお互いを必要としているので、こういう場でさまざまなレイヤーの人がうまくつながればいいと思うし、かなり面白いことができますよね。メーカー同士のコラボレーションは、これから増えそうな感じがしています」 

ハードウェアFlashAirとソフトウェアIBM Bluemix、それぞれの特性が合わさって新たなアイデアが生まれた今回のイベント。ユーザーを取り込むだけでなく、企業同士がイベントレベルで草の根的にコラボレーションしていく試みに、大きな可能性を感じた。 ハードウェアFlashAirとソフトウェアIBM Bluemix、それぞれの特性が合わさって新たなアイデアが生まれた今回のイベント。ユーザーを取り込むだけでなく、企業同士がイベントレベルで草の根的にコラボレーションしていく試みに、大きな可能性を感じた。

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