イベントレポート
「ファブ3Dコンテスト2017」エッグドロップ実践大会&授賞式レポート
最優秀賞は誰の手に?
ここからは再び授賞式の様子をお届けしよう。エッグドロップコンテストを制した「Reacushion」も含め、全5カテゴリーの優秀賞が出そろったところで、最優秀賞を決定するべく審査員による投票が行われた。「もっとも未来を感じさせる作品」という評価基準にもとづき、今年のコンテストを制したのは、カテゴリー1からエントリーの「スイカの維管束Part2スイカを育ててモデリング」だ。
小学5年生ながら最優秀賞を獲得した平野さん。前回もカテゴリー別の優秀賞を獲得していたが、再びコンテストに挑戦することを心に誓っていたという。「もう一度授賞式に来るという夢がかなって嬉しい」と喜びのコメントを聞かせてくれた。
また、作品制作を支援した施設に送られる「ファブ施設賞」には、名人賞として「ファブラボ太宰府」、新人賞として「ダイナミックラボ」が選定された。
「ファブ施設賞」の審査を勤めた越智岳人(fabcross編集部)からは、「今年の傾向として、地域に根差したラボから多くの作品が生まれていることが感じられた。仕事をしている大人から小さな子どもまで、一緒になってコンテストに取り組むプロセスを各所で見ることができたのが嬉しい」と、ファブ施設ならではの多様性を評価するコメントが送られた。
小学生の自由研究からハードコアなエンジニアリングまで、3Dプリンターの活用法をさまざまな角度から見ることができた本コンテスト。田中浩也教授は次のように述べ、授賞式を締めくくった。
「効率化を目的とした技術開発が多い現代において、3Dプリンターほど手のかかる技術はかえって珍しいのではないでしょうか。ノズルに詰まった素材を取る行為は、カセットテープを手動で巻き戻していたような、昔のアナログな作業をほうふつとさせるものでもあります。こうしたある種の不便さを抱えているがゆえに、メーカーだけではなくユーザー自身がアイデアや創意工夫をこらしていくことが、3Dプリンターの可能性を広げることにつながるのだと改めて強く感じました」
ハイレベルかつバリエーションの豊かな作品が多く集まった本コンテスト。3Dプリンターの活用法の幅広さ、そして奥深さを実感させられる内容だった。なお、コンテストは2018年も開催が予定されている。進歩するテクノロジーと、それに触発された創意工夫を見ることが今から楽しみだ。