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デザイナーが描く、マテリアルの新たな「道」——「MATERIAL DESIGN EXHIBITION 2017[BYPASS]」(南青山)

Material ConneXion Tokyoが主催する企画展「MATERIAL DESIGN EXHIBITION 2017[BYPASS]」が、12月22日まで東京・南青山のMaterial ConneXion Tokyoで開催されている。本企画展では企業とデザイナーが組み、素材の可能性をデザイナー視点で引き出し新しい用途につなぐ道筋を数多く紹介している。

Material ConneXionとは

Material ConneXionは、さまざまな素材や加工技術を製品やデザイン、開発に結びつけるためのサービスと提案を行うコンサルティング会社であり、世界各国の都市に拠点を持っている。その素材や技術を集めたマテリアルライブラリーを企画展と併せて紹介してもらった。

企画展は誰でも見に来ることができるが、このライブラリーはサービスの一部であり、会員制とのこと。
ポリマーや金属をはじめとした8カテゴリーのマテリアルが、ライブラリースペースに1600点、データベースには約7500点所蔵されており、毎月40種類ものマテリアルが追加されていく。

圧倒的な情報量と見たことのない形、テクスチャにものづくりの想像が膨らむ。 圧倒的な情報量と見たことのない形、テクスチャにものづくりの想像が膨らむ。

デザイナーが見せるマテリアルの可能性

Material ConneXion Tokyoが本企画展MATERIAL DESIGN EXHIBITIONを開くのはこれで3回目。今回のテーマである[BYPASS]は「迂回路」を意味し、デザイナーとマテリアルの間で繰り返される対話とそれを通じた魅力・可能性発見のプロセスを見ることができる。完成品だけでなく、サンプルやプロトタイプが展示台に数多く並んでいるのもその道筋を来場者に体感してもらうためだ。

三井化学株式会社とDRILL DESIGNがタッグを組んだ例。用いられたのは「アブソートマー」という、低温時は硬いが温めるとしなやかになるという特徴を持つ新素材だ。1つのマテリアルにつき多くのアウトプットを展示しているのが本企画展の特徴だが、特に数が多かったのがこのプロジェクトだ。プロトタイプはもちろん、失敗作さえも並べられておりどのような道筋で新たな用途が見出されたのか、モノを通じて感じ取ることができる。1つ1つのアウトプットが持つ独特な触感も、読者の皆さんにはぜひ体験してほしい。 三井化学株式会社とDRILL DESIGNがタッグを組んだ例。用いられたのは「アブソートマー」という、低温時は硬いが温めるとしなやかになるという特徴を持つ新素材だ。1つのマテリアルにつき多くのアウトプットを展示しているのが本企画展の特徴だが、特に数が多かったのがこのプロジェクトだ。プロトタイプはもちろん、失敗作さえも並べられておりどのような道筋で新たな用途が見出されたのか、モノを通じて感じ取ることができる。1つ1つのアウトプットが持つ独特な触感も、読者の皆さんにはぜひ体験してほしい。

展示されているアウトプットには、企業が武器としているマテリアルの要素を生かしたものだけではなく、時にはマテリアルの欠点と思われていた面や廃棄されていた破片をデザイナーが再解釈し新たな可能性が見出され生まれたものもある。

ニッタクスと小関隆一がタッグを組んだ例。用いられたのは「コムプライト」という、樹脂を含浸させた単板を重ね、高温高圧で圧着することで通常の木材の2〜3倍の強度を実現した積層強化木だ。強化木を製造する際に発生する端材に着目し、端材のランダムな凸凹を残してブロックへと成形。圧着によって生まれる側面の艶と、上部に突き出る端材の力強さのコントラストが互いの魅力を引き立てる。 ニッタクスと小関隆一がタッグを組んだ例。用いられたのは「コムプライト」という、樹脂を含浸させた単板を重ね、高温高圧で圧着することで通常の木材の2〜3倍の強度を実現した積層強化木だ。強化木を製造する際に発生する端材に着目し、端材のランダムな凸凹を残してブロックへと成形。圧着によって生まれる側面の艶と、上部に突き出る端材の力強さのコントラストが互いの魅力を引き立てる。
三和化工とトラフ建設設計事務所の例。用いられたのはビート板や新幹線の窓枠の緩衝材などに使われるポリエチレン発泡素材だ。出来上がったのはマテリアルの鮮やかな色味が存分に生かされた印象的なスツール。リサイクル素材を使って作られているため、アウトプットの1つ1つが異なる模様を織り成している。 三和化工とトラフ建設設計事務所の例。用いられたのはビート板や新幹線の窓枠の緩衝材などに使われるポリエチレン発泡素材だ。出来上がったのはマテリアルの鮮やかな色味が存分に生かされた印象的なスツール。リサイクル素材を使って作られているため、アウトプットの1つ1つが異なる模様を織り成している。
エヌシー産業と馬渕晃の例。用いられたのは直径0.05mm〜6.4mmの超微細な穴開けが可能なドリリング加工技術だ。写真はその技術を生かしたアウトプットの1つで、細かいドリリングによる重量や重心変化の可能性を表現している。技術の魅力が一目で分かりやすく伝わってくる、デザインの役割が明確に果たされた美しいアウトプットだ。 エヌシー産業と馬渕晃の例。用いられたのは直径0.05mm〜6.4mmの超微細な穴開けが可能なドリリング加工技術だ。写真はその技術を生かしたアウトプットの1つで、細かいドリリングによる重量や重心変化の可能性を表現している。技術の魅力が一目で分かりやすく伝わってくる、デザインの役割が明確に果たされた美しいアウトプットだ。

マテリアルとデザイン。2つの出会いから生まれる多様な道と新たな可能性の輝きは、豊富なアウトプットを通して確かに見る者に届くだろう。
会期は2017年12月22日までと残りわずか、ぜひ会場に足を運んでみてほしい。

MATERIAL DESIGN EXHIBITION 2017 [BYPASS]
会期:2017年10月16日(月)~12月22日(金)
開館時間:10:00~18:00
休館日:土・日・祝
会場:Material ConneXion Tokyo
〒107-0062 東京都港区南青山2-11-16 METLIFE青山ビル4F
入場料:無料
オフィシャルサイト:
http://www.mcx-mde.com/
主催:Material ConneXion Tokyo

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