今週行ってみたいイベント
機械・基板・回路をアートで表現——「Mechanical Sensations」（六本木）
ペーパークラフト、彫刻、ペインティングなど多彩な手法を使う10人のアーティストが「機械・基板・回路」をテーマに作品を制作した展示『Mechanical Sensations』が2019年7月7日まで、六本木ヒルズA/Dギャラリーで開催されている。
圧倒的な技術力で魅せる、基板や回路のかっこよさ
基板や回路を見て都市や宇宙を想像したことはないだろうか？ 小人になって基板の中を探検したり、小さな飛行機に乗って部品の間を飛行したりいろんなことを想像してしまう。一般の人ならそこで終わるのだが、自分の技術を駆使して想像の世界を作り上げるアーティストたちがいる。本展示では手仕事とは思えない超絶細かい作品で、見ているだけでワクワクする機械・基板・回路をテーマにした作品がずらりと並んでいる。その中からfabcross読者にぴったりの作品をいくつか紹介したい。
伊藤 航：基板に使われる電子部品を全てケント紙で手作りして作品を作り上げる。
2枚のアクリル板に部品大量に配置し、2枚をサンドイッチのように組み合わせることで奥行きのある基板の世界が生まれている。
本物の部品をよく観察し、どのように作ればリアルに見えるかを研究し、パーツを作っているそうだ。近日彼のインタビュー記事をfabcrossで掲載するので制作過程をチェックしてほしい。
ナカダマコト：手動工具はもちろん、NC加工機などさまざまな加工器具を駆使して細かな彫刻を行う。一見同じように見える彫刻はそれぞれ微妙に異なった造形をしていて、全てをコマ撮りにした映像で見るとパラパラ漫画のように模様が動き出す。
SDカード型の木版の中に基板や機械のようなものが彫刻されていて、こちらも同様に映像で見ると基板が動いているように見える。動画はぜひ会場で。
田島大介：配管や機械のようなものを画面いっぱいに細かく描写し、一つの都市のような世界を作り出す。
小坂 学：本物さながらの製品模型をペーパークラフトで作り出す。部品一つ一つを丁寧に仕上げていて、紙と分かっていても実際に使用できるのではないかと思ってしまうほどのクオリティーだ。
時計の表ではなく裏のメカを見せてくるあたりが渋い。
ボタンや、基板に書かれている文字でさえも紙で再現する徹底ぶり。
まだまだ紹介したい作品はたくさんあるが、これだけでも、圧倒的な技術力と機械や基板の魅力が存分に発揮されている展示だと伝わるのではないだろうか。彼らはアーティストでありエンジニアではないので、もしかすると現実ではありえない配置でパーツが組まれているかもしれない。だがその中には既存のものづくりにない発想があり、課題解決のヒントが隠れているかもしれない。アート視点がビジネスやサービスを発展させる鍵と言われ注目されている、ぜひ一度ハードウエアな視点からアートの世界に飛び込んでみてほしい。
「Mechanical Sensations」
会期：2019年6月21日（金）～7月7日（日）12:00～20:00
会場：六本木ヒルズA/Dギャラリー（六本木ヒルズ ウェストウォーク3F）
入場料：無料
休館日：無休
オフィシャルサイト：
https://art-view.roppongihills.com/jp/shop/adgallery/mechanicalsensations/index.html
主催：A/Dギャラリー
