新しいものづくりがわかるメディア

RSS


イベントレポート

水深500mの世界には何がいる? 水中ドローンの映像を鑑賞する会に行ってきました

地球の約7割を占める海。その海のなかでも、水深200m以上の海域を一般的に「深海」と呼びます。海の約8割は深海といわれており、そのほとんどが調査されていない、未踏の領域です。周囲を海に囲まれた日本は、世界的にも深海調査に積極的です。水深6500mまで潜行可能な有人深海調査船「しんかい6500」や、水深1万1000mまで潜行可能な無人深海探査機「かいこう」などを開発し、数々の深海調査の実績を挙げています。

しかし、深海調査というものはとても大掛かりなため、そうそう手軽にできるものではありません。そもそも開発には100億円以上かかりますし、年間の運用費や1回の調査費もかなりのもの。まさに国家レベルの規模なのです。そんな深海調査を個人でやってみたい。そういう思いで水中ドローンを開発したのがFullDepth(旧:空間知能化研究所)の伊藤昌平さんです。水中ドローン開発までの経緯は、下記の記事をご参照ください。

水中ドローンで家から深海調査がしたい——過酷な環境へ挑戦する「Tripod Finder」|fabcross

「誰もが深海を見ることができる世界を実現させたい」
筑波大発ベンチャーの空間知能化研究所は、潜水士よりも深く潜る水中ドローンを開発するスタートアップだ。…

そのFullDepthが2019年4月23日にDMM.make AKIBAで、「水中ドローンで深海1,000mへ行ったときの映像を鑑賞する会」を開催。同社の水中ドローンでどんな映像が撮影できるのか、参加してきました!

(左から)FullDepth代表取締役社長の伊藤昌平さん、取締役副社長の吉賀智司さん、取締役研究開発本部長の佐藤智紀さん。 (左から)FullDepth代表取締役社長の伊藤昌平さん、取締役副社長の吉賀智司さん、取締役研究開発本部長の佐藤智紀さん。

水中ドローンの映像は予想以上に高画質!

現在、FullDepthの水中ドローンは2機種。水深1000mまで潜行可能な「Tripod Finder」と、水深300mまで潜行可能な「FullDepth DiveUnit 300」です。今回はTripod Finderで撮影された映像が上映されます。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

2019年3月27日の小田原港で、深海の撮影を決行。ワクワクしますね!

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

水深984mに到達。さあ、どんな生き物が映っているかな?

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

なんと! 生き物は何も撮影できなかったとのこと。まあ、自然相手ですからこんな日もありますよね。ドンマイドンマイ。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

この上映会のために何か映像がなければ、という思いから、4月8日に神奈川県三浦において再度チャレンジです。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

Tripod Finderは、1000mまで潜行できる水中ドローンですが、非常にコンパクト。乗用車でも余裕で運べます。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

この撮影ではTripod Finderにちょっとしたカスタマイズをしたようです。本体に塩ビパイプを取り付け、その先にいい感じに熟成したサバを取り付けました。こうすることで、深海の生き物をおびき寄せます。「最新の深海ホイホイマシン」とのこと。熟成されたサバは、とてもいい香りがしたそうですよ(汗)。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

Tripod Finderを海に沈めます。22kgという、大人なら1人で持ち上げられる本体重量はTripod Finderの特徴のひとつ。これで1000mまで潜行できるというのは、やはり画期的です。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

今回は499mまでの潜行です。200m以上が深海ですから、十分深海。ちなみに、画面両端に映り込んでいるのはおびき寄せ用のサバです。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

Tripod Finderに取り付けられたカメラの映像はリアルタイムでパソコンに転送されます。これはワクワクしますね。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

エビ(シャコかも?)がいました! 
バルタン星人みたいですね。ちなみに伊藤さんにも、名前は分からないとのこと。深海の生物はまだ全部解明されているわけではないので、かなり有名どころでないと「○○の仲間」ということくらいまでしか分からないようです。深海生物の専門家にこの動画を見せれば分かるかもしれないとのことですが、画像越しでは判別できないことも多いとのこと。詳細に調べてもらうには、生体を持っていくしかないようです。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

こちらは深海魚界でもメジャーなソコダラの一種。かなり鮮明に映っています。300mくらいではよく見かける魚。日本海側にもいるとのことです。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

こちらはソコアナゴの一種。サバを付けて沈めるとたいてい出現するそうです。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

ソコアナゴエビ(シャコ?)のツーショット。水の状態がよければ、かなりきれいに映ります。これがあの小型のドローンで撮影されているのはかなり画期的です。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

一度引き上げます。本体とPCを接続するケーブルは細いものを使用。そうすることで、潮流の影響を最小限に抑えています。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

生き物の映像の量が不十分ということで、斜面になっている水深302mのところに再度潜行。何かいるかな? ちなみに、両サイドに映り込んでいたサバは位置を変えたようです。伊藤さんいわく「このような小さな改良を積み重ねていくことでイノベーションが生まれる」とのこと。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

ヒトデがいました。ちなみにヒトデの判別はとても難しいそうです。専門家でも映像や写真では判別できないとのこと。このヒトデも、これがいつもの状態なのか、身の危険を感じて警戒しているのか、産卵期なのか分からないそうです。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

こちらはユメカサゴ。食卓にも上る割とポピュラーな深海魚です。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

これはケンサキイカ(幼体のマルイカ)です。通常は60mあたりにいるようですが、なぜか300mのところにいました。理由は謎です。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

ヒトデとツーショットになっているのはゲンゲという深海魚です。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

こちらはアカザエビです。非常においしいことで有名なエビとのこと。高級らしいです。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

威嚇しています。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

これはハシキンメの仲間。おいしいそうです。薄っぺらい魚です。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

左側のオレンジ色の風船のようなものは、おそらくホヤの仲間じゃないかということです。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

再度アカザエビのご登場。1匹数千円はするらしいですよ。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

これはほんとに何か分からなかった生き物。おそらくエビだよなという感じです。これは鮮明な映像なので、専門家に見せればある程度種類が特定できるかもしれないとのことでした。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

この日伊藤さんが一番興奮したのが、これ。ハエジゴクイソギンチャクの一種。ハエトリグサという食虫植物がいますが、それとほぼ同じような捕食の仕組みを持つ生き物のよう。

(画像提供:FullDepth)

(画像提供:FullDepth)

そしてこの日のハイライトが、このフトツノザメです。FullDepthではテレビ撮影などの仕事もあるそうですが、このフトツノザメの撮影依頼が結構あるとのこと。今回が一番よく撮れているそうです。

深海好きなら大満足! 次回開催もぜひお願いします

ということで、上映会は終了。このあとはFullDepthの方々と参加者による懇親会が開かれました。正直なところ、実際の映像を見るまではこんなに鮮明に撮れているとは思ってもいませんでした。今まで見たテレビ番組などの映像に負けないくらいのクオリティです。

こちらの記事にあるように、個人で深海調査がしたいという思いから始まったプロジェクトですが、今ではテレビや各種メディアの水中撮影の仕事が増えているそうです。機材のレンタルはもちろん、オペレーション込みの出張作業も対応してくれるそうなので、「深海調査したいなー」とか「ちょっと深海魚の映像ほしいなー」と思ったら頼んでみるといいかもしれませんね。

会場には300mまで潜行可能な「FullDepth DiveUnit 300」が展示されていた。ゲーム機のコントローラーで操作ができる。 会場には300mまで潜行可能な「FullDepth DiveUnit 300」が展示されていた。ゲーム機のコントローラーで操作ができる。

個人的に深海、および深海魚が大好きなので、定期的に上映会を開催していただきたいと思います。ぜひ、よろしくお願いします!

編集部注:FullDepthの吉賀さんによれば、応募開始直後に満席になったこともあり、今後も上映会は開催したいとのことです。ご興味のある方はFullDepthのWebサイトSNSアカウントをチェックしてください。

取材協力:FullDepth

今人気の記事はこちら

  1. プログラミング初級からAI技術まで——デアゴスティーニ、学習プログラム「本気で学ぶIoT」の2次募集を開始
  2. 実務にそのまま使える物理を学べる——サイバネット、現役エンジニア向けオンライン教材「オトナの物理」を販売開始
  3. スマホを使って簡単3Dスキャン——スマートフォン用3Dスキャナー「Phiz」
  4. 私がカセットテープDJになった理由(ワケ) By 大江戸テクニカ
  5. 耳をふさがない完全ワイヤレス骨伝導イヤホン「earsopen PEACE」がGREEN FUNDINGで支援額1億円超え
  6. 4ch同時計測にも対応——オシロスコープ機能付ペン型マルチメーター「Pokit PRO」
  7. 誠文堂新光社、子ども向けプログラミング入門書「ジブン専用パソコン Raspberry Piでプログラミング」発刊
  8. Digi-Key、12ビット高精細オシロスコープ「WaveSurfer 4000HD」発売
  9. 室内照明で発電——タグキャスト、IoTシート「PaperBeacon」のプロトタイプ開発に成功
  10. 30W CO2レーザーで1000dpiの刻印——デスクトップ型レーザー加工機「beamo」

ニュース

編集部のおすすめ

連載・シリーズ

注目のキーワード

もっと見る