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Fabbleの使い方

生の雰囲気を伝えるためにFabbleを使う——オープンソースハードウェアを使った授業での取り組み

慶應義塾大学SFCソーシャル・ファブリケーション・ラボは、オープンソースのWebブラウザ「Firefox」を開発するMozillaの日本法人「Mozilla Japan」が中心となって開発を進めているオープンソースハードウェア向けドキュメント共有エンジンをベースに、2015年1月に「Fabble」というWebサービスを実験的に開始しました。ものづくりの手順と記録を共有する機能があり、大学でのレポートやハッカソン、ワークショップでの利用を想定して、現在もさまざまな開発が進められています。本連載では、そのFabbleの開発に携わった方たちが開発の背景や利用シーンなどを解説。日本発のものづくり共有サービスについて紹介します。今回はオープンソースハードウェアを使った授業での活用事例をKDDI研究所の関口直紀さんに寄稿いただきました。(編集部)

私はKDDI研究所で、WoT(Web of Things)の開発や標準化に取り組んでいます。近年、IoT(Internet of Things)という言葉が注目されていますが、もの同士をインターネットでつなぐというだけでなく、その制御やデザインにまでオープンなWeb技術を使うことで、誰もがものづくりに参加できる世界を目指しています。その主たる活動がオープンソースコミュニティであるCHIRIMEN Open Hardwareへの参加とCHIRIMENボードの開発です。今回は、専門学校でCHIRIMENボードを題材にした授業を行ったこと、そして、その授業にFabbleを活用したことについてご紹介します。

CHIRIMENボード

CHIRIMENボードとは、Web ブラウザベースのOS であるB2G(ブランド許諾を得る前のOSS 版Firefox OS)を搭載した組み込みボードです。最大の特徴は、一般的な電子部品の制御インターフェースとして用いられているGPIO、I2Cを直接操作するWebAPI を備えていることで、ハードウェアの制御も含めて全てのアプリ開発をWeb 言語で行える点です。そのため、いままでなかなかものづくりの領域に入り込めなかったWebエンジニアやWebデザイナーでも、ものづくりに参加できるようになります。CHIRIMENを普及させ、アイデアを持つ人が自らものづくりを行うことで、WoTのユースケースや可能性、そして標準化が必要な部分などが見えてくると考えています。

CHIRIMENボード CHIRIMENボード

CHIRIMEN授業の設計 CHIRIMENの普及には、CHIRIMEN自体の開発だけでなく、CHIRIMENを使う人を増やす仕組み、つまり教育の仕組みが必要です。もともと、CHIRIMENは教育用の組み込みボードとして優れていると考えています。というのも、CHIRIMENはソフトウェアだけでなくハードウェアの知識も組み合わせたものづくりを行うことで、総合的な開発能力の習得が見込めますし、全てのアプリ開発をWeb言語で行うため、ここで得られたプログラミング技術は一般的なWeb開発に活用することが可能です。そのため、私はCHIRIMENの学習を通して、Webとものづくりを学べる授業を設計しようと考えました。

Fabbleによるオープンソース教材

CHIRIMENのような組み込みボードを用いた教育の取り組みは、近年増えつつありますが、未だ確立された教材が存在しておらず、教員が独自に教材を作成していることが多いです。しかし、教員による独自教材を用いる場合、授業の質が教員の教材作成能力に左右されてしまう他、教材のメンテナンスに多大な労力を必要とします。また、先生ではない私がスムーズに授業を進行させるためには、授業の明確な手順書が必要です。私はこれらの問題を解決するために、教材をオープンソース化して、たくさんの教員、利用事例に支えられた教材を作る必要があると考え、Fabbleに着目しました。

オープンソースの教材には、以下の要件が必要だと考えられますが、これらの要件を満たすためにFabbleが最適でした。Fabbleがいかにこれらの要件を満たすことができたのか、私の実例をもとに紹介したいと思います。

  • 教材が公開され、参照/利用が簡単である。
  • 第三者のメンテナンスが簡単である。
  • 利用事例を簡単に共有可能である。

参照/利用が簡単なFabble

オープンソース教材として最も重要な要件は、当然のことですが、公開されていて、誰もが簡単に参照/利用ができるという点です。オープンソース教材として公開されているものはいくつかありますが、ダウンロードに氏名や利用目的の入力が必要であるものや、特殊なシステム上での利用を前提としたものが少なくありません。このようなものは、教材の配布団体が認めている利用目的かどうかの確認や、システムの利用方法の習得など、教員に対して負担をかけてしまいます。一方、Fabbleで作成された教材は、クリエイティブ・コモンズ・ラインセンスに基づいてWebで公開され、ブラウザで教材のURLにアクセスするだけなので、簡単に利用することができます。

また、Fabbleでは写真や映像、短いテキストを用いてレシピという形で手順をまとめていくことができます。形式がある程度定められている分、整理された見た目になり、利用者が授業の手順を直感的に理解できます。

実際の教材作成にあたっては、授業の事前準備から、授業の実施に必要な各ステップまでを時系列順に並べ、教材に沿った授業進行ができるようにしました。さらに、利用者がこの教材を使用したら何ができるのかがすぐに分かるよう、学習の目的および期待される成果を記載しました。

授業の時系列に沿った教材作成 授業の時系列に沿った教材作成

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