Fabbleの使い方
ものづくり教育の現場でFabbleを使う——慶應義塾大学SFC「オープンデザイン実践」での取り組み
慶應義塾大学SFCソーシャル・ファブリケーション・ラボは、オープンソースのWebブラウザ「Firefox」を開発するMozillaの日本法人「Mozilla Japan」が中心となって開発を進めているオープンソースハードウェア向けドキュメント共有エンジンをベースに、2015年1月に「Fabble」というWebサービスを実験的に開始しました。ものづくりの手順と記録を共有する機能があり、大学でのレポートやハッカソン、ワークショップでの利用を想定して、現在もさまざまな開発が進められています。本連載では、そのFabbleの開発に携わった方たちが開発の背景や利用シーンなどを解説。日本発のものづくり共有サービスについて紹介します。今回は授業での利用ケースを、教える側の視点で筧准教授が紹介します。(編集部)
1979年生まれ。博士(学際情報学)。2008年に慶應義塾大学 環境情報学部にて研究グループを立ち上げる。現在、同大学准教授。素材特性とデジタル技術を掛け合わせたインタラクティブメディアの開発、およびメディアアート表現の開拓を行う。現在、MITメディアラボにて客員准教授として滞在研究を行う。http://www.xlab.sfc.keio.ac.jp/
Fabプロジェクトのための、ドキュメンテーションサービスFabble。いかに作るか(レシピ)といかに作られてきたか(ヒストリー/メモ/日誌)の両方を並行して記述/共有することができる新しいWebサービスです。
今回は、開発の過程での実践例として、2013年度の慶應義塾大学湘南藤沢キャンパスでの講義「オープンデザイン実践」での利用ケースを紹介したいと思います。この講義は僕の他に、慶應義塾大学非常勤講師でMozilla Japan代表理事の瀧田佐登子さん、同じくMozilla Japan研究員の赤塚大典さんと一緒に担当しました。このお二人は、Fabble開発の中心メンバーでもあります。この講義では、インタラクションデザインとオープンデザインという二つのテーマを扱います。履修者は、グループワークを中心に、インタラクティブなプロダクトやサービスのデザインを行います。この際、ただ個々に作るというのではなく、知見/発見を互いにオープンな環境で共有しながら進めるものづくりに取り組みます。