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世界のスタートアップとエコシステム by HWTrek

世界最先端の農業分野テクノロジーの今と、アフリカのスタートアップ

アフリカのスタートアップは課題解決型が主流

HWTrekではアフリカのスタートアップもサポートしていますが、こうした先端の農業テクノロジーを生かすプロジェクトが目立っています。
雨季が年に1回しかない地域では、限られた水資源を有効活用するために土壌モニタリング技術が生かせます。またドローンから上空のデータを取得し、どこを開墾すれば、より多くの収穫が見込めるかといった分析に生かすなど、厳しい環境下で効率的に農業を行うための試みが始まっています。

 

Sunculture

SunCultureの灌漑システム。月500ドルから導入できる。(SunCultureのWebサイトより) SunCultureの灌漑システム。月500ドルから導入できる。(SunCultureのWebサイトより)

ここからは実際にアフリカで活動するスタートアップを紹介しましょう。

SunCultureはケニアを拠点とするスタートアップで、土壌の水分をセンサでモニタリングし、水分が不足している箇所だけに水を散布するシステムを提供しています。
太陽光パネルで給電するので、電気が無い農地でも使えます。ケニアは農業用地として利用可能な土地の4%しか開拓されていないにも関わらず、農家の勘に頼った水の無駄遣いが多く、水資源の80%が農業用水に使われています。

SunCulture創業者は2人のアメリカ人で、自国の農業技術を途上国に生かせないかと考え、このシステムを開発しました。
起業から2年で1000セットがケニアに導入され、ある農地では1年の収穫サイクルが2回から4回に増えるなど実績も出ています。費用面でもシステムを一括購入するのではなく、月払いのサブスクリプションモデルを採用するなど、導入しやすい形でサービスを提供しています。

 

Kio Kit

農業だけでなく、教育環境の向上も重要な課題です。
Kio Kitは授業で使うタブレット端末と教育コンテンツを提供するスタートアップです。インターネットインフラが先進国のように充実していない環境を配慮した仕様になっていて、タブレットのコンテンツはネットにつながっていなくても利用でき、スーツケース型の充電ケースにタブレットを収納することで40台まとめて保管と充電が可能です。

アフリカでは電気が安定的に供給されていない地域も少なくないので、ガソリンで発電して電源を確保するケースも少なくありません。
こうした端末も教室に電源が無い場合を想定して、先生がバッテリーごと持ち運びできるようにしています。Kio Kitは既にケニアの学校でも使われていて、今後は他のアフリカ各国にも展開する予定です。

アフリカのスタートアップの課題と環境

アフリカのスタートアップの課題は資金調達です。HWTrekに来る相談も起業直後のスタートアップが多いですね。なので、最初に彼らにあったアクセラレータープログラムを紹介し、量産に向けた試作に入った段階で、私たちがパートナーを紹介するというケースが大半です。

プロトタイピングの段階であれば、ファブ施設を用意しているアクセラレーターもいるので問題ありませんが、現地には量産設計ができる企業も人材も非常に少ないので、深センに来てパートナーを探すなど私たちに問い合わせが来るケースも少なくありません。アフリカのスタートアップはシリコンバレーのようなハイエンドな製品を作るのではなく、現地の課題解決を意識した製品やソリューションが大半です。しかしながら、英語教育が普及していることもあり、海外との意思疎通には問題が無く、将来性を見据えて中国からの投資も集まっているので、将来性は大きいと見込んでいます。

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