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【2017年版】日本のファブ施設調査——2年で倍増、商業施設から小さなラボまで広がる多様性d

2015年から定点調査を続けている日本のファブ施設数調査、2017年度のデータと動向についてまとめました。

全国で増加、2年前と比較して倍増

fabcrossが独自に調査し、2016年の調査実施時から62施設(うち30施設は2017年オープンであることを確認)が新たに加わり、8施設がクローズ。合計で54施設増加の174施設という結果になりました。

機材の導入率では、2016年2位だったレーザーカッターが1位になり、2016年4位のミシンが3位、10位のUVプリンターが8位に上昇するなど、専門的な教育を受けていなくても扱いやすい二次元のデータを使った機材の導入が進んでいるようです。

2017年の傾向としては商業施設内の工房と、比較的小規模な施設の増加が挙げられます。前者ではカインズやロフトといった店舗内に加工サービスや工房を設置し、買った商品をそのまま持ち込んでカスタマイズできる店舗が増えています。また、後者では地元の企業が始めるケースや、地方自治体の予算でオープンした工房が増えています。

TechShopの倒産はMakerの終焉ではない

2017年11月15日、TechShopが倒産しアメリカ国内の全拠点を閉鎖しました。Makerムーブメントを牽引し、大企業からハードウェアスタートアップ、個人ユーザーにいたるまで幅広いユーザーに支持されるファブ施設として知られていましたが、高額な設備投資やランニングコストが原因で閉鎖せざるを得なかったといいます。

日本のファブ施設でも収益化は重要な課題です。Fabなび取材時でも、運営者から編集部が受ける質問として最も多いのは、「他の施設はどのように採算を取っているのか」で、その質問の裏側にはノウハウを共有する機会や、施設同士のコミュニティがあまり無いという実態があります。

こうした現状から、施設の運営ノウハウについて共有していこうという動きもあり、2017年3月に福岡県で開催されたファブ施設運営者向けのイベントでは、日本国内から多くの関係者が集まりました。

そのイベントでも「自ら手を動かして作る志向を持つ人が想定よりも少なく、ファブ施設単体で採算をとることは難しい」という意見があり、施設運営の収益化に関する悩みが浮き彫りになりました。

目下の取り組みとしては、ものづくりに対するハードルを下げるべく、子どものうちから教育を受けさせるといったアプローチや、運営母体の別事業とのシナジーを重視するなど、多くの運営者が工房利用に依存しないモデルを模索しています。

つまり、ファブ施設もまた、スタートアップのような存在であり、どのように成長して持続可能なモデルを構築していくか、トライ・アンド・エラーを繰り返している状況なのです。

Maker Faireに限らず、さまざまなMaker系のイベントの規模が拡大し、最近ではSTEM教育が世界各地で取りざたされるように、ヒトとものづくりの関係は日々刻々と変化し、裾野も着実に拡がっています。

そうした中で、ファブ施設の運営のあり方についても、今後より一層議論される機会が増えることが望まれます。

調査概要

  • 今回のファブ施設調査は2016年11月1日から2017年10月31日にかけて、主にこれまでの取材記録やインターネット検索、電話取材を基にしたものです。学生・教職員しか利用できない大学内施設や、社員限定の施設など、一般利用不可の施設は対象外としています。
  • 調査結果をまとめたグラフの著作権はクリエイティブ・コモンズ・ライセンス(表示 – 非営利 – 改変禁止 4.0 国際)を採用しています。ライセンスで認められている範囲において自由にご利用下さい。

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