PLEN THE DRIVER PROJECT
2カ月で実現! PLEN×FabCafeが目指すロボットの未来
縦割りの関係性を超えた自発的なチームへ
5チームで、連携してできたことは得意分野を生かし、従来の組織で起こりがちな縦割りの関係性を超えたつながりの中で「ものづくり」を行ったこと。それぞれの分野でプロフェッショナルだが、皆でアイデアを持ち寄ってプロジェクトを進めるのは、このチームでは初めてのこと。
アイデアが形となる過程で、文章だけではない視覚化ができていた。ラピッドプロトタイピングの典型的な例ではあるけれど、同プロジェクトにおいてもアップデートが自発的にあがってくる環境だった。そのことで意思統一も円滑にできたとFabCafeチームは振り返る。
伝達手段として、アイデアをスケッチで表現することも多く、状況に応じて映像や写真などを使い視覚化されていた。その上、データのやりとりも非常にスムーズだったという。
情報共有にFacebookグループを利用し、オンラインでのコミュニケーションが円滑であったことも、プロジェクト成功の秘訣かもしれない。オフラインミーティングとオンラインディスカッションを同時に進めていくこと。
ただ、クリティカルパスとして、車のデザインが決まらない とメカ設計が進まない、車のデザインとメカ設計が進まないとPLENのモーションが進まないというところがスケジュール上のネックになったようだ。
「PLEN THE DRIVER PROJECT」チームが開発にかけた思い
まずは、単独で作業を進められるセンサチームが先行し、PLENとKinectを接続した。既にモバイルとの接続はできているため、大きな問題なくクリアできたそうだ。インタラクションをデザインする上で、Kinectでどういう動作をPLENのどのモーションのトリガーとするかは、非常に大切なポイントになっている。
Engadget fesで多くの利用者に体験してもらうため、分かりやすいモーションが重要だった。そこで、基本的に手の動きによってPLENを動かすことに決めた。その中でも「立つ、座る」の動作を手の動きとシンクロさせると、PLENとの一体感がグッと高まることから連動させた。
デザインチームは、スケッチ段階で外観が決まっていたため作業はスムーズに進んでいた。ただ、実際に動かすということになると課題がどんどん出てきた。しかも、デザイン側だけでは解決ができないため、メカ担当と実際に検証しながら進める必要があった。
技術的に最も難しかったことが2つあったという。PLENが乗降する椅子の形状や車の高さ、それを実現するモーションと、PLENが車を操縦するインターフェース部分。車を駆動するモーター数と車輪数を決め、ある程度駆動部分のスペース予測ができた段階で一気にデザインからモデリングに進め、プロトタイプを3Dプリンタで出力した。それをベースにメカ設計、PLENのモーションデザインを同時に進め、終盤に全員そろった段階で一気に調整するというスケジュールで進めることに。
通常の開発であれば、何度もデザインと設計、メカ、モーションデザインなどを行ったり来たりするところだが、最後にプロジェクトメンバーがそろったタイミングで全てを同時に行う方法を選んだ。最終段階まで完成の確認ができないというリスクを抱える一方で、メンバーは 構造面やメカ部分の知識も豊富だった。そのため、通常の開発で重ねられている方法よりも早くモデリングからプロトタイプまでできている。これは、成功の原因の一つではないだろうか。