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2020年プログラミング必修化!「作る」ことで分かるSTEM教育

プログラミング+デザインで子どもたちの創造性と可能性を引き出したアドビとCA Tech Kidsの試み

アドビ システムズはCA Tech Kidsと共同で、2017年8月から2018年3月にかけて、「アイデアを実現する力を育む」とうたったスタディプログラム「Kids Creator's Studio」を実施した。去る3月27日に開催された成果報告会では5人の小学生が、それぞれが作り上げた身近な課題を解決するオリジナルのスマートフォンアプリを発表した。

アプリはどれも素晴らしい出来栄えで感心させられたが、そこにはプログラミングだけでなくデザインについても教え、子どもたちの創造性を広げることの重要さが含まれていると強く感じた。

小学校学習指導要領に取り入れられ、2020年に学校で始まるプログラミング教育をきっかけとして、子どもにプログラミングを教えるプログラミングスクールがあちこちでスタートしている。数年前から始まってはいた動きだが、この1年ほどで一気に加速した感がある。こうしたプログラミングスクールの多くは、“プログラミングで論理的思考を身に付ける”“必修化されるプログラミング教育を先取り”などプログラミングできるようになることが目的で、本連載でフォーカスしているSTEM/STEAM教育とは遠いように思う。

Kids Creator's Studioは、Adobe PhotoshopやAdobe Illustratorなどクリエイター向けツールを長年提供し、最近は教育現場での創造的問題解決能力育成に力を入れているアドビ システムズと、2013年から小学生向けプログラミングスクール「Tech Kids School」を展開するCA Tech Kidsとが連携して、一般募集した子どもたちにクリエイター教育を実施するプログラムだ。

Kids Creator’s Studioに参加した5人の小学生。(左から)菅野 晄(ひかり)さん、曽田 柑(かん)くん、斉藤みりさん、吉田たくとくん、高橋 温(おん)さん。 Kids Creator’s Studioに参加した5人の小学生。(左から)菅野 晄(ひかり)さん、曽田 柑(かん)くん、斉藤みりさん、吉田たくとくん、高橋 温(おん)さん。

慶應義塾大学SFC研究所とアドビ システムズなどが教育現場向けに授業レシピを提供するという記事で紹介したが、日本のZ世代(12~18歳)は、自分が創造的であると考えている人の割合が、他国の同世代と比べ極端に低い。アドビ システムズはこの状況に対して、「日本の子どもたちは創造的体験が少ないために自信が無い」という仮説を立て、Z世代未満(9~11歳)の子どもたちに創造的体験をしてもらうことでクリエイティブな人材育成の可能性を探ろうと、CA Tech Kidsと組んでKids Creator's Studioを開催したと説明していた。

Kids Creator's Studioには、小学3年生~5年生で、渋谷で半年間行われるワークショップ(無償)に参加できることなどを条件に募集され、70人以上の応募者の中から、書類選考やグループディスカッションなどを経て5人(女子3人、男子2人)が選ばれた。5人は週末4時間、半年で約100時間のワークショップを受けた。内訳はプログラミング言語(Swift)の学習に3カ月半、デザイン講座に半月、残り2カ月がアプリの開発にあてられた。5人はプログラミング歴が2年~4年あり、何人かはTech Kids Schoolでキッズプログラマー奨学金を受けるなど、プログラミングのスキルは十分にある子どもたちだ。

プレゼンテーションは、ゲストや記者を含む200人を超える観客を前に行われたが、子どもたちは堂々と発表していた。 報告会は、自身のアプリを自分でプレゼンテーションするというスタイルだったが、コミュニケーション能力も重要な選考項目に上げられていたこともあってか、どの子どももアプリそのものも、プレゼンテーションもすばらしいものだった。 プレゼンテーションは、ゲストや記者を含む200人を超える観客を前に行われたが、子どもたちは堂々と発表していた。 報告会は、自身のアプリを自分でプレゼンテーションするというスタイルだったが、コミュニケーション能力も重要な選考項目に上げられていたこともあってか、どの子どももアプリそのものも、プレゼンテーションもすばらしいものだった。

・吉田たくとくん(小4:当時、以下同)
「たべガチャ」冷蔵庫にある食材を使いながらいろいろな料理を作りたいが、メニューが決まらない、というお母さんの悩みに答えるアプリ。表示される食材アイコンを選択していくと、その食材で作れる料理を提案してくれる。

「たべガチャ」 「たべガチャ」

・斉藤みりさん(小3)
「イートデイリー」同じ料理を続けて作ってしまうおっちょこちょいのお母さんを助けるアプリ。毎日三食の食事を撮影して記録し家族からの評価も記録できる、食事のカレンダー。

「イートデイリー」 「イートデイリー」

・曽田 柑くん(小4)
「プログラ」自分が大好きなプログラミングを、もっと多くの小学生に学んでほしいという願いを込めたアプリ。選択式でクイズに答えながら、プログラムの基本概念を楽しく学べる。

「プログラ」 「プログラ」

・高橋 温さん(小5)
「memoris」(メモリス)教科書の重要ポイントに赤いマーカーを引き、赤いプラスチックシートで隠す勉強法をアプリ化した。文書をスマホで撮影してアプリ上で簡単に赤線を引いて問題を作れ、学習の達成率も表示できる。

「memoris」 「memoris」

・菅野 晄さん(小5)
「色刺繍」刺しゅう好きなおばあちゃんのための、刺しゅうの図版(設計図)を簡単に作成できるアプリ。刺しゅうにしたい画像を撮影し、刺しゅう糸メーカーと使う糸の数を選ぶと刺しゅうの図版を自動生成する。データは保存して、デジタル刺しゅうミシンでも使える。

「色刺繍」 「色刺繍」

プレゼンテーションで子どもたちは、半年間のワークショップで学んだことを話していたが、特にデザインの重要性を学んだことでアプリの画面構成や色使いにとても役立ったと言及した子どもが多かった。デザインの役割を知ったことで、生活の中にあるものや街中のデザインの意味に興味を持ったと話す子どももいた。プログラミングだけでなくデザインも合わせて教えることで相乗効果を生み、子どもたちの創造性が広がってすばらしい結果を生み出したといえるだろう。アドビ システムズはこの成果を得て、日本のZ世代未満の子どもたちは創造性にあふれており、適切な環境を用意すれば創造性を最大化できると結論づけた。そしてZ世代も創造的にできるのではないかとして、CA Tech KidsとZ世代未満への試みを継続すると共に、Z世代に向けての活動を加速するとしている。

今回のKids Creator's Studioの成果は、一つのスキルだけでなく関連する分野を学ぶことで、さまざまなテクノロジーを使って自ら学び、なにかを作り出すことを目指すという意味において、STEM/STEAM教育に通じるものがある。単に“プログラミングという技術”を学ぶのではない、このような取り組みが広がっていくことを期待したい。

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