Dmet Productsインタビュー
世界17カ国で出荷台数40万台を突破——海外市場で伸び続ける日本発IoTプロダクト「SoundMoovz」
こだわりすぎないバランス感覚
——企業から分社化して良かったことはありますか?
楠:Dmet ProductsはDmet Holdingsのスタートアップ部門から始まりました。本体のDmet Holdingsは50年以上続く企業で、スタートアップのように開発しながら資金調達に苦労することがありませんでした。そこの苦労がなかったことは本当に大きかったと思いますが、事業を進めるのに使った資金を早く本体に返したかったのも本心です。Dmet Holdingsの社長がとても懐の広い人で、裁量もあったし、バックアップ体制にも恵まれていると思います。事業を進めている時もわざわざプレゼン資料を作って説明しにいくようなこともなく、スピーディーに開発を進めることができたことにとても感謝しています。
——佐合氏はDmet Holdingsではなく、SoundMoovzの開発を始めてから参加されたそうですね。二人が最初に出会ったきっかけをお聞かせいただけますか?
楠:佐合とは、浜野製作所が運営しているGarage Sumida(ガレージスミダ)の交流会イベントで出会いました。その時は、まだプロダクトの影も形もなくて、手元にあったアイデアの企画書だけ。これからの構想を説明して、アプリ開発を手伝ってほしいと誘いました。
佐合:私ももともと会社を創業して世界を変えられるようなプロダクトが作りたいと、一人でもんもんと考えていました。そこで楠と出会い、企画書を見せてもらった時に、これだったら世界を変えられるかもしれないと感じたことと、自分のやりたいことが一致していたのが参加を決めたきっかけでした。
楠:仲間を集めるのは大変ですね。今も苦労しています。常に海外から要求されているアプリの機能追加や改良を行っています。もっと海外展開を加速させてくれるエンジニアを採用したいです。商品を日本で販売していないので、どうしても国内の認知が低くて採用に苦労していますが、現在は社員7人と外部のエンジニアにも協力してもらって開発を進めています。
——今後の展開について教えてください
楠:将来的には、DJ機材と接続して使えて、手のジェスチャーで音楽を操るハイエンドな商品が作りたいです。海外支店も作りたいですね。エンターテイメントの聖地、ニューヨークにシェアオフィスを借りて、アメリカ市場のネットワークをもっと増やしていきたいと思っています。
——これからハードウェアスタートアップを始める人たちにアドバイスをお願いします
楠:こだわりすぎないことじゃないでしょうか。自分のエゴになりすぎないこと。
ものづくりを進めるときってその分野に特化している人がチームに必要じゃないですか。エンジニアなら開発や技術にこだわりを持っているし、デザイナーならデザインにこだわりを持つ。自分は、エンジニアじゃないけどちょっとだけ開発が分かる。デザインもちょっとだけ分かっていて、みんなの気持ちをちょっとだけ理解できるんですよ。深くは知らないけど、だからこそこだわりすぎることもなかったのが、うまく全体のバランスが取れていたのが良かったのかなって思っています。