リバネスと浜野製作所が資本提携、国内外30社のスタートアップを支援する体制へ
2016/09/02 18:30
リバネスと浜野製作所が資本提携し、日本およびマレーシア、タイ、インド、シンガポール、台湾のハードウェアスタートアップの支援体制を拡充すると9月2日に発表した。浜野製作所が運営するインキュベーション施設「ガレージスミダ」を拡張し、常時30社のシード期のスタートアップを支援していく。
リバネスは2013年からハードウェアベンチャーの発掘と育成を行うシードアクセラレーションプログラム「TECH PLANTER」を運営、もう一方の浜野製作所も2014年に「ガレージスミダ」を立ち上げ、スタートアップに工作機械を開放する他、墨田区内の町工場をネットワーク化し開発支援を行ってきた。
これまで2社は、2012年の研究者向け研究機器の共同開発を皮切りに、ハードウェアベンチャー支援、墨田区の町工場見学ツアーや相談会を実施するなど、両社のリソースを生かした活動を行ってきた。2社が共同で支援してきたスタートアップの中には、電動車いすのWHILLや障害者向けコミュニケーション支援ロボットのオリィ研究所など、既に事業を展開するベンチャーもある。現在は6社を支援している。
今回の資本提携では、常時30社のハードウェアスタートアップを支援できる体制の構築を目指す一方で、アジア圏のハードウェアスタートアップを日本で会社登記し、開発支援を経て欧米市場へ輸出するモデルを展開するとしている。
記者発表会では、風力発電機の開発を手掛けるチャレナジーの清水敦史氏が、2社の支援を受け起業から現在に至るまでを紹介した。
チャレナジーは2011年の東日本大震災を機に、原発に代わるエネルギー源として風力発電に着目。
「垂直軸型マグナス風力発電機」と呼ばれるプロペラを使わない機構にすることで、台風でも安定して発電できるシステムを考案し、リバネスが2014年に主催した第1回テックプラングランプリで最優秀賞を受賞した。
その後、開発の拠点をガレージスミダに移し、2016年8月に沖縄県で実証実験を開始している。
チャレナジーは、今後も2社の支援を受けながら製品の実用化を目指し、アメリカや東南アジアなどハリケーンや台風が上陸する地域への風力発電機導入を目指す。
会見でリバネスの丸氏は「アジア5カ国の技術シーズを日本に招き、日本で法人登記し技術開発を進めることで、日本の研究者や町工場の雇用を創出しながら、海外市場へ売り込むことで日本の技術のグローバル化に寄与したい」と、資本提携後の展望を話した。
また、浜野製作所の浜野氏は「多くの町工場が、後継者が見つからず廃業に追い込まれている。一度廃業すると立ち上げなおすのは難しい。我々の世代でなんとかつなぎ止めて、次の世代へつなげる責務があると感じている。東京には情報があり、多くの研究者やスタートアップ、経営者がいる。そういった地の利を生かしたものづくりを行うことは東京の町工場にとって大きな意味がある」と、提携の意義を説明した。