脳科学とAIで音楽トレンドを可視化——NTTデータなどヒットソングを予測する共同研究を実施
2020/09/08 16:00
NTTデータは、NTTデータ経営研究所と阪神コンテンツリンクと共同で、NTTデータの動画視聴時の脳活動予測サービス 「NeuroAI」と、阪神コンテンツリンクのBillboard JAPANの総合ソングチャートHOT 100のデータを組み合わせた共同研究を2019年9月から実施した。
今回の共同研究開発プロジェクトは、音楽視聴中の脳活動をシミュレーションするNeuroAI-Musicを使い、日本におけるヒットソングの特徴とその社会的浸透度の関係を科学的に理解し、未来のマーケットを予測する試みだ。
楽曲の脳情報化による新たな特徴の獲得では、NeuroAIを音楽に適用することで、音楽ジャンルの情報や音声信号処理に依存しない新たな楽曲特徴を定量化した。脳情報に含まれる人間が感じる音楽への潜在的かつ言語化不可能な反応を利用することで、新たなアプローチによるプレイリストの作成提案などが期待される。
ヒットソングの特徴の可視化では、単位の楽曲トレンドを定量的に把握するため、楽曲特徴(脳情報/歌詞特徴/コード進行特徴)とアーティストの前週のチャートデータから、チャートポイントを説明するチャートモデルを構築した。過去のチャート情報を加味しているため、アーティスト知名度などの影響をある程度差し引いた上で、支持される楽曲の特徴を把握できることが期待される。
未来の音楽トレンド予測では、週単位で上位にランクインする曲の楽曲特徴を定量的に表したモデルの時系列変化をトレンド変化と捉え、過去の変化パターンから未来に支持される楽曲特徴を予測することを試みた。実際のチャートデータ以外に、急に聴かれるようになった楽曲について指標化した急上昇トレンド指標を対象に新たなチャートモデルをつくり、時系列変化を予測した。全データの90%を利用して変化パターンを学習させた結果、未学習に仮設定したデータでも予測精度が維持できた。
3社は今後、レコード会社などに向けアーティストの発掘/育成/マーケティングの支援、ストリーミング事業社などに向けたチャートデータや脳情報を基にしたプレイリストの制作支援を行うなど、新たなサービスのトライアル提供を2020年9月から開始する。