Dig up the underground「プロダクト一機一会」by 松崎順一
置く場所を選ばないスリムで斬新なフォルムで登場したMDラジカセ「SONY PERSONAL MINIDISC SYSTEM ZS-M7 MDIO(エムディオ)」
このコーナーでは以前に、同じエムディオシリーズの「ZS-M5」を紹介したことがあるが、今回はその翌年の1998年に誕生した「ZS-M7」をご紹介する。筆者が蒐集活動を開始した2003年にはまだ現役で活躍していたMDラジカセだ。
1990年代、ソニーはMDの普及に力を入れていて、当時のポータブルオーディオはラジオとCD、MDが搭載されたものが主流だった。その中で発売されたZS-M7は、MDラジカセとしては高級志向で洗練されたデザインが特徴だ。今回は定点観測地の一カ所で発見された。残念ながら付属品(AMアンテナ/リモコン/取説/元箱)は無く、本体のみの発掘となった。それでは詳しく本体を見てみることにしよう。
正面から見たZS-M7はとてもシンプルな造形で、全体がブラックとシルバーでシックにまとめられている。そして逆三角形の部分には、ラジオや音質の調整と大型のFLディスプレイが搭載され視認性は良い。
そして横から見るとZS-M7の奥行きはあまりないのが分かる。カタログでは奥行き13.9cmとなっている。これはCDが、ソニー独特のバーティカルローディングという、CDのローディングメカが斜めに動作する機構を採用していることにより実現した。
MDは中央に挿入スロットがある。CDからMDにダイレクトに録音できるのがこの機種の売りで、録音中、アーティスト名や曲のタイトルなどを、MDのデータとして入れることもできる。
本体上面左側に、パワースイッチやシンクロダビング、タイマースタンバイなどのボタンがレイアウトされている。
向かって右側にはボリューム、チューナーの選曲やプリセットボタンなどがコンパクトにまとめられている。
そしてそのほかの機能は本体の天板部分にまとめられている。
スピーカーのネットは外すこともできるが、基本は付けたまま使用する。ZS-M7のスピーカーネットは、発売当時何種類かのカラーバリエーションが存在した。筆者が知っているのは青と赤系のネットだ。
FLディスプレイが表示されている状態。FLディスプレイには放送局名も表示することができる。
CDはイジェクトボタンを押すとトレイが斜めに出てくる。この仕様はのちのZS-Dシリーズに継承されている。
ZS-M7の本体には取手は無く、背面に手を掛ける部分があり、手で引っ掛けて移動する。また、入出力はラインインだけでラインアウトはない。そして電源はACのみで、電池での使用は想定されていない。ZS-M7はBluetoothユニットを接続できるなど、現在でも活躍はできるオーディオ機器だ。ユニークなのはヘッドフォンジャックが2つあり、まるで初代のウォークマンを彷彿させること。ZS-M7はインテリアとしての存在感も色褪せていないと思っている。
「SONY PERSONAL MINIDISC SYSTEM ZS-M7 MDIO(エムディオ)」
発売時期: 1998年
1998年に起きた主な出来事
- 貴乃花と若乃花、史上初となる兄弟横綱が誕生
- アニメ「おじゃる丸」放送開始
- 任天堂「ゲームボーイカラー」発売