Dig up the underground「プロダクト一機一会」by 松崎順一
ナショナル創業50周年記念で販売店に配布されたノベルティ「NATIONAL TAPE-RECORDER RQ-210」
日本の家電メーカーは、その多くが戦前に誕生して戦後に急成長していった。その中のパナソニック(創業時の社名は松下電気器具製作所)は2018年に創業100周年を迎えている。今回入手したのはそのパナソニックの国内向けブランドが「ナショナル」だった時代に、創業50周年を記念してナショナル系列の特約店などに配布された非売品の記念カセットプレーヤー「RQ-210」だ。
ただし「RQ-210」自体は当時一般に販売されていた製品で、一般販売の製品と違うところはカセットぶたにある“創業50周年”の文字が入っていることで、それ以外に違いはないようだ。今回入手したのは少し前に秋葉原に2019年に誕生したSEEKBASEという商業施設でイベントを開催していたとき、来店した方から譲り受けたものだ。半世紀前のものを比較的良好なコンディションで譲っていただき感謝している。なお今回も本体のみで付属品はない。それでは詳しく本体を見てみることにしよう。
まず本体の大きさだが、片手で持つと電池を入れて約1Kgの重量があるので、ズッシリ感がある。また、ボディーも金属が多用され、堅牢な作りとなっている。初期のカセットレコーダーなので、メカを動かすボタンも独特の仕様になってる。
操作部は上面に集中して配置されている。
本体上部には再生の操作レバーと、その横にはマイクリモートジャック(マイクのジャックとリモコンジャックが並んだもの)、その下には円形のレベルメーターとボリューム、真っ赤な録音ボタンがレイアウトされている。
カセットの再生はレバーをこのように押す。ストップはレバーがフラットの位置だ。
そしてユニークなのが早送りと巻き戻しで、レバーの反対側を押すと動作する。ちなみに早送りと巻き戻しの切り替えはレバーの中央に少し出ている黒いギザギザのスイッチだ。
また、カセットぶたは本体にある銀色の突起をスライドすると大きく開口する。
カセットテープを取り出すときは上部の丸いボタンを押す。
RQ-210は単三乾電池4本、6Vで作動する。カセットの横の部分を開けると電池ケースが取り出せる仕組みになっている。
本体底面にはアダプターの端子とラインアウト端子がある。
本体の仕様はテープを入れるところの反対側に記載されている。そしてその下はスピーカーになっており本体だけで音を聞くことができる。1968年は各メーカーが、カセットのメカを創意工夫して作っていた時期で、RQ-210も当時の最先端技術を駆使して小型化を目指していたことが分かる。そしてオーディオの歴史を変えたウォークマンが出るのはそれから11年後のことだ。
「NATIONAL TAPE-RECORDER RQ-210」
発売時期: 1968年
1968年に起きた主な出来事
- テレビアニメ「巨人の星」放送開始
- 映画『2001年宇宙の旅』公開
- タカラが「人生ゲーム」を発売