3D printing 2015レポート
低価格な光造形から曲げられる素材まで——2015年の3Dプリンタ
1月28日から30日まで3Dプリンティング技術の展示会「3D Printing 2015 Additive Manufacturing Technology Exhibition(3D Printing 2015)」が東京ビッグサイトで開催された。
3Dプリンタブーム元年と言われた2013年から一段落つき、20万円台以下のプロシューマ/個人向け3Dプリンタにおいても、さまざまな素材への対応が進んでいる。
今回は3D Printing 2015に出展された製品の中からfabcrossが注目したものについてレポートする。
CESでも話題の光造形3Dプリンタ(XYZプリンティング)
台湾のKinpoグループ傘下の3DプリンタメーカーXYZプリンティングジャパンは、CES2015にも出展した光造形方式3Dプリンタ「Nobel 1.0」を出展。
最大造形サイズは、幅128×奥行128×高さ200mmで、積層ピッチは25~100μm。500mlの液体レジンボトルを本体にセットして出力する。発売時期は今年中で販売価格は未定だが、他社の同スペック機と比較してかなりリーズナブルになる予定だという。
国産の光造形3Dプリンタも出展(ムトーエンジニアリング)
ムトーエンジニアリングも参考出展として光造形方式の3Dプリンタを展示。
最大造形サイズは幅48×奥行27×高さ80mmで積層ピッチは18~100μm。宝飾品や補聴器、カスタムイヤフォンの造形を想定用途として開発した。今年中の販売を予定しており、価格は未定だが「これまで数百万を出して光造形機を導入していた宝飾関連のデザイナーにとって、より導入しやすい価格帯を目指す」(説明員)という。
スポーツ/リハビリ向けにやわらかい樹脂素材を慶応SFCと開発(JSR)
化学素材メーカーのJSRは慶応義塾大田中浩也研究室との共同開発による、3Dプリンタ用素材「FABRIAL」シリーズを出展。田中研と共同開発した3Dプリンタで出力したサンプルを展示していた。
出力の設定時に造型物の内部密度を変えることで固さを柔軟に調整できることが特徴で、医療分野でも実績のある高品質の素材をベースに開発。スポーツ用品やヘルスケア/リハビリテーション分野の製品での利用を想定している。2014年の春から共同で研究を進め、2015年1月に発表。価格は未定だが今年中の販売を予定しているという。
強化プラスチックが使える韓国製デスクトッププリンタ(ROKIT)
韓国の3DプリンタメーカーROKITは強度や耐熱性、耐候性に優れた工業用のエンジニアリングプラスチックを出力できるデスクトップ型3Dプリンタ「3DISON」を展示。
欧米では代理店を通じて販売しており、日本での販売は決まっていない。今回は日本での代理店探しも兼ねて出展していた。「3DISON AEP」の最大造形サイズは290×205×255mmで積層ピッチは25~600μm。
実用性とメンテナンス性の高さを重視したニンジャボット
静岡の3Dプリンタメーカー、ニンジャボットが手掛ける3Dプリンタ「FDM-200」シリーズは国内工場で組み立てを行っており、ユーザー側でパーツ交換や修理できるよう、メンテナンスしやすいオープンタイプのデザインを採用している。交換用パーツの対応も国内でサポートするなど、日常的に3Dプリンタを活用している上級者向けのプリンタだ。
フィラメントは「世界中からフィラメントを取り寄せて検証しているが、取り寄せた1週間後には会社ごと無くなっているケースも少なくない」(説明員)そうで、いかに相性の良いさまざまな素材のフィラメントを安定してユーザーに供給できるか、地道にリサーチと検証を繰り返しているという。