イベントレポート
Maker Faire Tokyo 2015レポート——Makerの興奮が日本の夏を熱くする!
Maker Faireの創始者Dale Dougherty氏にインタビュー
Maker Faireに合わせて来日。基調講演を済ませたオライリーのDale Dougherty氏にインタビューをする機会を得た。Makeムーブメントとそのコミュニティについて語ってもらった。
テクノロジーがMakerを変えた
——日本のMaker Faireについてどう思いますか?
Dale Dougherty氏(以下Dale):たいへん盛り上がっていますね。みんな熱心で多くの創造的なプロジェクトが行われているのはうれしい限りです。また、他の国のFaireに比べてオリジナリティにあふれた作品が多いのも特徴でしょうか。大量生産品っぽいものは少ないですね。日本人は遊びにも真面目なのだなあ、と感じます。
——アメリカとは違いがありますか? アメリカにはもともとガレージ文化があって個人のものづくりについて伝統があると聞いていますが?
Dale:確かにありますが、ガレージ文化は私の父や祖父の世代の話です。その頃はないものは自分で作るしかありませんでした。あくまで家族で使うためのもので、人に見せるという文化ではなかったと思います。また、製作の現場も今はガレージではなく、Maker仲間の家だったり、都市部の専用の施設だったりさまざまです。ただ、ものを自分で作るという点でガレージ文化は姿を変えてMakerムーブメントにつながっている側面もあります。私は祖父がモノを作るのを見て、作ることが好きになりましたし、娘はそんな私を見て今ものづくりを楽しんでいます。大きな違いは、テクノロジーの進歩によって個人ベースでもかなりのものが作れるようになった点、SNSの普及で仲間や社会とのつながりの中でものづくりが進んでいく点です。
インターネットテクノロジーは道具に過ぎない
——最近、IoT(Internet of Things)という言葉をよく聞きますが、そのことについてはどう思いますか?
Dale:もちろんすばらしいことですが、言葉が先行している気もしますね。研究者や評論家の単語であってふつうの人が知っておくべきものではないように思います。パソコンの初期を考えれば普通の人にとってあまり関係のないものだった。それが仕事で必要なものになった。同じように、Makerはものづくりの過程で必要性を感じればそれを使います。インターネット技術はインターネット技術でしかない。道具は道具です。どう使い、何を生み出すか。そこが重要です。でも技術としてはすばらしい。あらゆる人が使えて、人に作品を見せることもできる。Makerとってたいへんな力になります。特に人とつながれるのがいいですね。オンラインでいっしょに何かを組み立てることができる。そこに文化が生まれます。