今週行ってみたいイベント
未来の定番を作るデザインとその思考——マルセル・ブロイヤーの家具: Improvement for good(竹橋)
“ワシリーチェア”の呼び名で有名な「クラブチェアB3」などデザイン史に残る家具を生み出した、マルセル・ブロイヤーにスポットを当てた企画展「マルセル・ブロイヤーの家具: Improvement for good」が2017年5月7日まで東京国立近代美術館で開催されている。
木材を使った家具や、代表的なスチールパイプを使用した家具、建築などを紹介した展示となっている。
形態と機能、近代の美を求めて
奇をてらわず、モノの本質(機能)に基づいたデザインをすることで、発表してから90年以上経つ今でも色あせない家具デザインを生み出したブロイヤー(ハンガリー出身、1902年生まれ)。彼のデザインへの思考は当時彼が学んでいたドイツの造形学校「バウハウス」の理念に基づくもので、今回の展示ではバウハウス学生時代、バウハウスの講師時代、スイス/イギリス時代、アメリカ時代の4つにセクションを分けてブロイヤーの作品を紹介している。
歴代のクラブチェアB3を並べて見られる機会は珍しく、どこが改良されているか比較してみるのも面白いだろう。同チェアの量産化や、加工技術の向上により、椅子デザイン全体の印象を変えずに行なわれたその時代に合ったバージョンアップは非常に興味深い。
未来を見据えて今を作る、現代のものづくりに刺激を与えるブロイヤー
1926年ブロイヤーは自身がデザインした椅子の作品を年代順に並べ、未来の椅子を想像していた。彼はいずれ空気の柱に座るようになると考えていたようだ。重々しい家具が主流だった時代にスチールパイプを用いて家庭用の家具をデザインしたのも、空気に座る未来が来ると考えたブロイヤーだからこそできたのかもしれない。現在多くのスタートアップ企業が今世の中にないものを生み出そうとしており、きっとブロイヤーに共感できる人も多いのではないだろうか。ぜひブロイヤーが手がけたデザインと共に、彼が取り組んだ未来への挑戦や考え方に触れてもらいたい。
本展示では家具のジョイント部分など細部を見やすくするために展示台を高く設計したり、年表と実際の資料を組み合わせて楽しく見られる年表をデザインしたりと、展示方法にも気を使っている。このようなところも参考になるので注目してほしい。
マルセル・ブロイヤーの家具: Improvement for good
会期:2017年3月3日(金)〜5月7日(日)10:00~17:00 ※入場は閉館30分前まで
会場:国立近代美術館2F ギャラリー4(東京都千代田区北の丸公園3-1)
入場料:一般430円、大学生130円、高校生および18歳以下、65歳以上は無料
休館日:月曜日(5月1日は開館)
オフィシャルサイト:
http://www.momat.go.jp/am/exhibition/breuer_2017/#section1-1
主催:東京国立近代美術館